国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院工学研究科の中村 篤智 准教授、松永 克志 教授らの研究グループは、独ダルムシュタット工科大学のXufei Fang (シューフェイ?ファン) 博士および東京大学大学院工学系研究科総合研究機構の幾原 雄一 教授、栃木 栄太 助教との共同研究で、半导体に外部から光(フォトン)と力(フォース)を同時に入射する手法を新たに開発し、结晶のシワ(転位注1))の运动が光照射で変化する现象をナノスケールで计测することに初めて成功しました。
高度に情報化された現代社会において、半导体材料の重要性は非常に高いものとなっています。半导体には壊れないこと、つまり、高い信頼性や耐久性が求められます。半导体の構造的な強さが光環境に強く依存することが発見されて以来、各種半导体の本当の強さを知るための手法開発が期待されてきました。本研究では、完全にコントロールされた光(フォトン)と力(フォース)をナノスケールで同時に半导体に入射し、半导体の強さに及ぼす光の効果をナノスケールで計測する手法の開発に成功しました。この研究成果により、多種多様な先進半导体の構造的な強さを正しく評価できるようになります。
本研究成果は、2021年2月17日付(日本時間2月18日午前9時)米国科学雑誌『Nano Letters』オンライン版に掲載されました。
本研究は、主に、2019年度から始まった科学技術振興機構(JST) 『さきがけ研究「力学機能のナノエンジニアリング」研究領域(JPMJPR199A)』の支援で行われたものです。また、研究の一部では、『新学術領域「機能コア科学(19H05786)」』ならびに『特別推進研究(17H06094)』をはじめとする日本学術振興会科学研究費助成事業の支援を受けました。
○ 本研究は半导体材料の構造的な強さに関するものである。モバイルデバイスに半导体が多数用いられるようになり、半导体の構造的な強さを正しく評価することの重要性が増している。
○ 半导体の構造的な強さは、周囲の光環境に依存して、より強くなったりより弱くなったりする。
○ 半导体の構造的強さは内部のシワ(転位)のナノスケール運動が支配している。これまで、その運動を計測する手段が限られており、実態の多くは未解明だった。
○ 本研究では、光ファイバーを通して光(フォトン)と力(フォース)を同時に入射し、半导体内部のシワのナノスケール運動を計測する手法(光インデンテーション法)を開発した。
○ その結果、シワの発生に光はあまり影響せず、光はもっぱらシワの平行移動に強く影響していることを初めて発見した。
○ ナノスケールでシワの動きを計測する方法が確立できたことで、多種多様な各種半导体の強さを正確に評価することが可能になった。
○ 半导体の強さを正しく理解できるようになると、半导体の信頼性や耐久性の向上につながるほか、使用する材料の量を減じた省元素設計が可能になる。
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1) 転位(てんい):结晶における原子配列連続性の乱れ(シワ)の一種。正式には1次元の结晶格子欠陥と呼ばれ、结晶の塑性(形状変化能)を支配している。
雑誌名: Nano Letters
論文タイトル: Photoindentation: A New Route to Understanding Dislocation Behavior in Light
著者: Atsutomo Nakamura*, Xufei Fang*, Ayaka Matsubara, Eita Tochigi, Yu Oshima,Tatsushi Saito, Tatsuya Yokoi, Yuichi Ikuhara, Katsuyuki Matsunaga
DOI:
大学院工学研究科 中村 篤智 准教授