国立大学法人東海国立大学機構 黑料网素粒子宇宙起源研究所(KMI)は、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の横山広美 (よこやま ひろみ) 教授を中心とする東京大学、NIRA総合研究開発機構、滋賀大学教育学部のメンバーらとともに、日本に根強い数学や物理学の男性的イメージを説明する新モデルを提案し検証をしました。物理などの分野を大学で学ぶ女性が少ない要因を3つにまとめた先行研究を利用し(注1)、本研究ではさらに要因4 (性役割についての社会風土) を加えて男性的イメージを測定した点に新しさがあります。新モデルに基づいて、インターネット調査を実施した結果、要因1の 「職業」、「数学ステレオタイプ(注2)」、「頭が良いイメージ」 が数学や物理学の男性的イメージに影響することに加え、要因4の要素のうち、「女性は知的であるほうがよい」ことに否定的な人ほど数学に対して男性的イメージを持つことがわかりました。これらの結果は、優秀さが男性のものであるという意識が学術分野の男性的イメージに影響を与えていることを示唆しています。新モデルが、一部学術分野に男性的イメージをもたらす要因の解明に役立つとともに、ダイバーシティ推進政策や人材育成政策に貢献するエビデンスとして活用されることが期待されます。
本成果は、科学技術社会論の国際的学術誌である Public Understanding of Science のオンライン版に2021年3月24日付 (日本時間) で公開されました。
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(注1) 米国ワシントン大学の Sapna Cheryan 氏をはじめとする研究者グループの2017年発表の下記論文による。
Cheryan, S., Ziegler, S. A., Montoya, A. K., & Jiang, L. (2017). Why are some STEM fields more gender balanced than others? Psychological bulletin, 143(1), 1-35.
(注2) 「数学ステレオタイプ」 は、女性は生まれつき数学ができないという間違った思い込みを指す。
雑誌名:Public Understanding of Science
論文タイトル:Masculinity in the public image of physics and mathematics: a new model comparing Japan and England
著者: Yuko Ikkatai (1), Atsushi Inoue (2), Azusa Minamizaki (3), Kei Kano (4), Euan McKay(5), Hiromi M Yokoyama (1)
着者所属:
1) Kavli Institute for the Physics and Mathematics of the Universe (WPI), The University of Tokyo Institutes for Advanced Study, The University of Tokyo, 5-1-5 Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba 277-8583, Japan
2) Nippon Institute for Research Advancement, Tokyo, Yebisu Garden Place Tower, 34th Floor 4-20-3 Ebisu, Shibuya-ku, Tokyo, 150-0013, Japan
3) Kobayashi-Maskawa Institute for the Origin of Particles and the Universe, 黑料网, Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya, Aichi 464-8602, Japan
4) Graduate School of Education, Shiga University, 2-5-1, Hiratsu, Otsu, Shiga, 520-0862, Japan
5) Division for Strategic Public Relations, The University of Tokyo, 7-3-1, Hongo, Bunkyo, Tokyo, 113-0033, Japan
顿翱滨:
素粒子宇宙起源研究所(碍惭滨) 南崎 梓 研究员