化学
2021.05.20
徹底的に电子不足化した有機π共役分子 ~高機能苍型有机半导体材料の創製を目指して~
国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院工学研究科の 田島 慶太 博士後期課程学生、福井 識人 助教、忍久保 洋 教授らの研究グループは、奈良先端技術科学大学院大学の 松尾 恭平 助教、山田 容子 教授、京都大学の 関 修平 教授らとの共同で、イミド基とイミン型窒素注1)原子の同時挿入という分子設計指針に基づき、高性能な苍型有机半导体注2)として機能する新規电子不足π共役分子注3)の创出に成功しました。
ベンゼンやナフタレンに代表されるπ共役分子は液晶や有機発光ダイオードなどの先端技術の基盤要素です。これらの分子はπ電子を豊富に持つため、電子供与能に優れ、p型半導体としての応用が期待されています。一方、电子不足なπ共役分子の創出は比較的遅れているため、大気安定かつ高性能なn型半導体材料の創出に制限をかけています。したがって、电子不足π共役分子の設計指針の拡張が求められます。
今回、アンタントレン注4)という電子豊富なπ共役分子に対して、イミド基とイミン型窒素を同時に導入したπ共役分子を新たに設計?合成しました。この新物質は優れた电子不足性を示し、電子注入によリ大気安定なラジカルアニオン注5)を与えました。さらに、大気下で動作する高性能なn型半導体として機能しました。本成果は、「イミド基とイミン型窒素の同時導入」が电子不足π共役分子の設計に効果的であることを実証するものです。この指針を他のπ共役分子に適用すれば、多彩な物質群の創出に繋がると期待されます。
本研究成果は、2021年5月17 日付けドイツ化学会誌『アンゲヴァンテ?ケミー?インターナショナル?エディション』オンライン版に掲載されました。
本なお、この研究は、文部科学省科学研究费助成事业(学术変革领域研究(A))「高密度共役の科学:电子共役概念の変革と电子物性をつなぐ」(2020?2024年度)、「动的エキシトンの学理构筑と机能开拓」(2020?2024年度)および日本学术振兴会科学研究费助成事业(若手研究)「ヘテロ元素の挿入を分子设计の键とした新规湾曲&辫颈;共役分子の创出」(2020?2021年度)の支援のもとで行われたおこなわれたものです。
?「イミド基とイミン型窒素原子の同時導入」という設計により、电子不足性が非常に高いπ共役分子を新たに創出した。
?得られた物质に电子を注入した状态が高い大気安定性を示すことを明らかにした。
?得られた物質を用いて、大気下で動作する高性能な苍型有机半导体を創出した。
&苍产蝉辫;◆详细(プレスリリース本文)はこちら
注1)イミン型窒素:原子軌道のうち、1つの2s軌道と2つの2p軌道が混成した窒素原子。炭素原子よりも大きな電気陰性度を持つため、电子不足性が高い。
注2)有机半导体:半導体特性を示す有機物のこと。正孔を輸送するものをp型、電子を輸送するものをn型という。
注3)π共役分子:多数の二重結合でつながった有機化合物。酸化および還元されやすい性質を持つ。有機発光ダイオードや有机半导体において重要な有機材料。
注4)アンタントレン:ベンゼン环が6つ连なった化合物。电子豊富であり、有机薄膜太阳电池材料の构成要素として研究されている。
注5)ラジカルアニオン:电気的に中性の有机化合物に対して、1个の电子が注入された状态。空気中の酸素によって酸化されやすいため、一般に不安定である。
雑誌名:Angewandte Chemie International Edition
論文タイトル:Acridino[2,1,9,8-klmna]acridine Bisimides: An Electron-Deficient π-System for Robust Radical Anions and n-Type Organic Semiconductors.
(アクリジノ[2,1,9,8-klmna]アクリジンビスイミド:耐久性の高いラジカルアニオンおよび苍型有机半导体を与える电子不足π共役系)
著者:K. Tajima (名大院生), K. Matsuo, H. Yamada, S. Seki, N. Fukui (名大助教) and H. Shinokubo (名大教授)
顿翱滨:10.1002/补苍颈别.202102708
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