国立大学法人東海国立大学機構 黑料网低温プラズマ科学研究センターの堀 勝 センター長、田中 宏昌 教授らの研究グループは、黑料网医学部附属病院の水野 正明 教授、同大大学院医学系研究科の豊國 伸哉 教授、梶山 広明 教授、同大大学院生命农学研究科の柴田 貴広 教授との共同研究で、プラズマ活性乳酸リンゲル液(Plasma-activated Ringer’s lactate solution, PAL)中の抗ガン物質をいくつか同定しました。
本研究では、プラズマ活性乳酸リンゲル液中の成分をいくつか同定し、それぞれの物质のがん细胞杀伤効果を调べました。その结果、「グリオキシル酸」はがん细胞にも正常细胞に対しても杀伤効果を有するのに対し、「2,3-ジメチル酒石酸」は正常细胞に対してがん细胞に选択的な杀伤効果を示すことが明らかになりました。
このことにより、プラズマ活性溶液注 1)によるがん細胞の選択的殺傷効果の解明に大きく前進し、将来のプラズマがん治疗の推進が期待できます。
この研究成果は、2021 年 9 月 16 日 18 時(日本時間)付英国科学雑誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載されました。
この研究は、令和元年度から始まった文部科学省科研费特别推进研究『プラズマ诱起生体活性物质による超バイオ机能の展开』などの支援のもとで行われたものです。
?本学が世界に先駆けて独自に开発したプラズマ活性乳酸リンゲル液(笔础尝)の成分について、核磁気共鸣法(狈惭搁)注 2)やエレクトロスプレーイオン化质量分析法(贰厂滨-惭厂)注 3)によりいくつか同定した。
?同定された成分について、がん细胞への细胞杀伤効果を调べたところ、「グリオキシル酸」はがん细胞にも正常细胞に対しても杀伤効果を有するのに対し、「2,3-ジメチル酒石酸」は正常细胞に対してがん细胞に选択的な杀伤効果を示すことが明らかになった。
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注 1)プラズマ活性溶液:
プラズマを照射した溶液のことで培养液、点滴などをプラズマ照射すると抗肿疡効果など、细胞?组织に多様な生理学的応答を示すことがこれまでの研究で分かってきた。
注 2)核磁気共鳴法(NMR):
核磁気共鸣とは、外部静磁场に置かれた原子核が固有の周波数の电磁场と相互作用する现象であり、核磁気共鸣法とは核磁気共鸣を物质の分析、同定の手段として用いる方法のことである。
注 3)エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI-MS):
兴味のある検体を含む液体をエレクトロスプレーによって微细なエアロゾルへと分散し、イオン化した后に质量分析を行う方法のことである。
雑誌名:Scientific Reports
論文タイトル:Low temperature plasma irradiation products of sodium lactate solution that induce cell death on U251SP glioblastoma cells were identified.
著者:Hiromasa Tanaka, Yugo Hosoi, Kenji Ishikawa, Jun Yoshitake, Takahiro Shibata, Koji Uchida, Hiroshi Hashizume, Masaaki Mizuno, Yasumasa Okazaki, Shinya Toyokuni, Kae Nakamura, Hiroaki Kajiyama, Fumitaka Kikkawa, and Masaru
Hori
DOI: 10.1038/s41598-021-98020-w
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