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国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院生命农学研究科の土岐 和多瑠 講師と青木 弾 講師の研究グループは、竹の空洞で幼虫が育つ昆虫ニホンホホビロコメツキモドキとエサとして栽培される酵母菌の共生関係について調べ、竹の組織に含まれる単糖类(グルコース、フルクトース)を栄養源に酵母菌が増殖し、幼虫のエサとなることを解明しました。
木材の大部分は、难分解性成分(セルロースなど)であり、ほとんどの动物は自力で消化できません。そのため、木材で育つ昆虫は、それらの难分解性成分を分解できる共生微生物(酵母菌など)の助けを借りて、木材を利用すると考えられています。しかし、木材のどの成分を微生物が利用するかはほとんど分かっていませんでした。
ニホンホホビロコメツキモドキのメスは、竹をかじって穴を開け、空洞内に産卵するとともに酵母菌を植え付けます。空洞内で孵化した幼虫は、増殖した酵母菌を食べて成長します。私たちは、竹に含まれる糖类のうち、酵母菌が実際に利用した糖类を調べるため、新鮮な竹、酵母菌培養後の竹、酵母菌と幼虫を育てた竹の空洞表面の組織を採取し、それらに含まれる糖类を分析しました。その結果、酵母菌は、主にグルコースとフルクトースを利用した一方、利用可能にも関わらず難分解性の糖类を利用していませんでした。このことから、木材利用性昆虫の共生菌は、必ずしも難分解性成分の分解を通して昆虫に寄与するわけではないことが考えられました。
本研究成果は、2021年9月28日付英国科学雑誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。
本研究は、公益財団法人発酵研究所平成30年度一般研究助成(G-2018-1-034)及び日本学術振興会科学研究費国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A)) (20KK0349)の支援のもとで行われたものです。

 

【ポイント】

?木材の大部分は、难分解性の高分子成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)で构成され、ほとんどの动物は単独では消化できません。そのため、木材で育つ昆虫は、それらの难分解性成分を分解できる共生微生物の助けを借りて、木材を利用すると考えられています。しかし、共生関係の中で、木材のどの成分を微生物が利用するかはほとんど分かっていませんでした。
?竹の组织には、高分子で存在する多糖注1)と、低分子で存在する游离糖注2)とが含まれます。多糖を構成する単糖?二糖の単位を构成糖注3)と呼び、多糖の加水分解によって分析できます。微生物が多糖を分解する場合、微生物利用後の竹の构成糖は減少すると予想されます。
?竹の空洞で幼虫が育つニホンホホビロコメツキモドキについて、(イ)新鮮な竹、(ロ)共生酵母菌を培養した竹、(ハ)酵母菌と幼虫を育てた竹の空洞表面の組織を採取し、それらに含まれる构成糖と游离糖を分析しました。その結果、(イ)に比べて、(ロ)や(ハ)で、游离糖(主にグルコース、フルクトース)が大きく減少した一方、构成糖は減少しませんでした。
?培養試験により、酵母菌は、グルコースやフルクトースだけでなく、難分解性の糖类(キシロースやキシラン)を分解する能力を持つことが分かりました。
?これらの結果より、酵母菌は、(1)主に游离糖由来のグルコースとフルクトースを栄養源に増殖し、幼虫のエサとなること、(2)難分解性糖类を利用可能にも関わらず、これらを利用していませんでした。すなわち、木材利用性昆虫の共生菌は、必ずしも難分解性成分の分解を通して昆虫に寄与するわけではないことが考えられました。

 

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【用语説明】

注1)多糖
単糖が重合した高分子を指します。例えば、エネルギー贮蔵が目的のデンプンやグリコーゲン、细胞壁などの构造形成が目的のセルロースやヘミセルロースがあります。

注2)游离糖
一般に水溶性を示す低分子量の糖类を指し、主に単糖および二糖が該当します。例えば、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、スクロース(ショ糖)などがあります。本研究では、試料からエタノール水溶液で抽出された単糖と二糖を游离糖とし、その量と組成を評価しました。

注3)构成糖
多糖の構造単位を示す用語です。例えば、セルロースの构成糖はグルコースのみですが、ヘミセルロースの构成糖はグルコース、キシロース、マンノース、アラビノース、ガラクトース、ウロン酸など、植物種や組織構造に応じて多岐にわたります。本研究では、あらかじめエタノール水溶液で抽出処理をされ、不溶物として試料に残存した多糖を硫酸加水分解することで、构成糖の量と組成を評価しました。

 

【论文情报】

雑誌名:Scientific Reports
論文タイトル:Nutritional resources of the yeast symbiont cultivated by the lizard beetle Doubledaya bucculenta in bamboos
著者:Wataru Toki(土岐 和多瑠 黑料网大学院生命农学研究科講師), Dan Aoki(青木 弾 黑料网大学院生命农学研究科講師)
DOI: 10.1038/s41598-021-98733-y
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【研究代表者】