国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院(総長 松尾清一)环境学研究科 日本学術振興会特別研究員RPD及び金沢大学(学長 山崎光悦)環日本海域環境研究センター連携研究員の奈良 郁子 博士は、国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構(理事長 児?敏雄)東濃地科学センターの渡邊隆広研究副主幹、東北大学大学院(総長 大野英男)環境科学研究科の土屋範芳教授、山崎慎一博士、静岡大学(学長 日詰一幸)理学部?防災総合センターの北村晃寿教授と共同で、静岡平野から採取した過去の津波堆积物(※1)の化学分析を行い、津波堆积物と他の堆積物とを区別する手法を構築しました。
津波堆积物は過去の浸水被害の証拠とされています。過去の津波の頻度や規模、浸水域を明らかにすることにより得られる情報は、津波災害への対策を検討する際の重要な情報となります。津波堆积物を検出する際には、洪水などの津波以外の要因による堆積物との区別が必要であり、そのための調査手法を構築することが極めて重要となります。
本研究の対象地域とした静岡平野は、過去の地震による津波被害を何度も経験している地域です。一方で、大雨による洪水被害の多い地域でもあります。さらに、本地域は土地造成等により人工的に地層の改変が行われており、地中深くにある津波堆积物等が発見されることは多くありませんでした。このことから、特に静岡平野の津波堆积物の地球化学的な研究はこれまでに行われていませんでした。
本研究では、まず、静岡平野から採取したボーリングコア試料についてエネルギー分散型蛍光エックス線分析装置による分析を行い、河川の氾濫により生じた洪水堆積物等と静岡平野の過去の津波堆积物それぞれの化学的な特徴を明らかにしました。これに加えて、クラスター分析(※2)などの統計解析を行うことにより、津波堆积物と他の堆積物とを区別することに成功しました。
本手法を用いることで、これまで目视では判别できなった仅かな津波の痕跡が见つかる可能性があり、このような过去の津波被害の推定手法に関する研究成果によって、地域の防灾?减灾を検讨する上で重要な情报を提供することにつながることが期待されます。
本研究成果は、2021年10月に日本地球化学会発行の国際学術雑誌「Geochemical Journal」にオンラインで掲載されました。
? 津波による被害を軽減するための防災対策の検討に際しては、過去の津波の頻度や規模、浸水域を明らかにすることが求められており、そのための調査手法を構築することが極めて重要となります。
? そこで、本研究では調査手法を確立するために、静岡平野で発生した約1000年から4000年前の津波堆积物の化学組成を明らかにし、得られた化学組成をもとに統計解析等を行うことで、静岡平野で発見された津波による堆積物(津波堆积物(※1))と他の堆积物とを区别することに初めて成功しました。
? 本研究は、東海地方の津波堆积物に地球化学的判別手法を適用させた初の事例です。本研究で用いた手法は、沿岸域における津波被害への防災?減災に貢献できます。また、これまで見つかっていない過去の津波堆积物を発見するための有効な手法としても期待されます。
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1.津波堆积物:津波によって海底あるいは海岸の堆積物が削り取られ、その後別の場所に堆積した砂泥および礫(れき)の総称。(「産業技術総合研究所 津波堆积物データベース」より参照)。
2.クラスター分析:分析データを类似性の高いグループごとに分类する统计解析手法。例えば、海由来か陆由来かの区别等、供给源の异なる试料を分ける手法の一つとして用いられている。
雑誌名:Geochemical Journal, 55, 325-340 (2021)
論文タイトル:Geochemical characteristics of paleotsunami deposits from the Shizuoka plain on the Pacific coast of middle Japan
着者名:渡边隆広1,土屋范芳2,北村晃寿3,山崎慎一2,奈良郁子4, 5
所属:1. 日本原子力研究開発機構 2.東北大学大学院環境科学研究科 3. 静岡大学理学部?防災総合センター 4. 黑料网大学院环境学研究科 5. 金沢大学環日本海域環境研究センター
顿翱滨:10.2343/驳别辞肠丑别尘箩.2.0641
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公表:2021年10月20日オンライン公开