国立大学法人東海国立大学機構 黑料网宇宙地球环境研究所の三好 由純 教授、小路 真史 特任助教は、宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所の浅村 和史 准教授らとの共同研究により、宇宙空間において プラズマの波が、イオンとの相互作用を介して別の波へと変わる様子を、世界で初めて発見しました。
地球や惑星周辺の宇宙空间には希薄ながらもイオンや电子が存在します。これらのイオンや电子はエネルギーの低いものから高いものまで様々な状态で存在することが知られていますが、なぜこのような多様性が生まれるのかは分かっていません。私たちは「あらせ」卫星注1)の観测データに新しい解析手法を适用し、宇宙空间に存在する磁気音波と呼ばれる电波がイオンを温め、さらに、温められたイオンがまったく别のイオン波と呼ばれる电波を新しく作り出している証拠を见つけ出すことに世界で初めて成功しました。磁気音波はエネルギーの高いイオンによって生成されると考えられています。また、イオン波は、宇宙のイオンを散乱させ、プロトンオーロラ注2)と呼ばれるオーロラを光らせることができると考えられています。
今回の発见は、エネルギーや起源が异なるイオン?电子が电波を介してエネルギーをやり取りする过程の一端を実証的に観测したもので、宇宙空间に存在するイオン?电子のエネルギーの多様性を実証する重要な成果です。
本研究成果は、2021年12月11日午前2時(日本時間)付アメリカ物理学会速報誌「Physical Review Letters」に掲載されました。
?「あらせ」卫星の観测データを详细に解析し、宇宙空间で磁気音波と呼ばれる波がイオンを温めることで、全く别の电波を励起していることを世界で初めて発见した。
?磁力线の周りを高速で回転しながら进むイオンの速度と、电波の向きや强さを详细に対応づけていく「波动粒子相互作用解析」の手法を新たに开発し、「あらせ」卫星のイオンと电波の観测データに适用することで、イオンと电波の间で受け渡されているエネルギー流量と受け渡しの方向を完全に特定した。
?宇宙空间ではほとんど衝突が起きず、そのままではイオン?电子の间でエネルギーのやり取りが行われないにもかかわらず、多様なエネルギーを持ったイオン?电子が同じ领域に同时に存在している。本研究は、その多様性を作り出す理由の一つとして考えられている、电波とイオンの连锁的な反応によるエネルギーの流れの観测に世界で初めて成功したものである。今后、木星などの他の天体の探査においても、様々な种类の电波とイオン?电子への本研究で开発した手法の适用が可能になれば、宇宙空间におけるエネルギーの分配や循环过程の理解につながるものと期待される。
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注1)「あらせ」卫星
2016年12月20日にイプシロンロケット 2号機によって打ち上げられた、ジオスペースをその場観測によって探査する衛星。バン?アレン帯などの超高エネルギー粒子が蓄積されている領域を継続的に観測するため、非常に厳しい放射線環境の中ではあるが、現在も順調に観測を行っている。
注2)プロトンオーロラ
水素イオンが大気に向かって降りこみ、大気粒子と衝突することによって発生するオーロラ。电磁イオンサイクロトロン波が宇宙空间でイオンを散乱すると、散乱されたイオンの一部が大気に向かって降り込み、プロトンオーロラを発生させると考えられている。
雑誌名: Physical Review Letters
論文タイトル:Cross-energy couplings from magnetosonic waves to electromagnetic ion cyclotron waves through cold ion heating inside the plasmasphere
着者:
浅村 和史 宇宙航空研究開発機構 准教授
小路 真史 黑料网宇宙地球环境研究所 特任助教
三好 由純 黑料网宇宙地球环境研究所 教授
笠原 禎也 金沢大学 教授
笠羽 康正 東北大学 教授
熊本 篤志 東北大学 准教授
土屋 史紀 東北大学 准教授
松田 昇也 金沢大学 准教授
松岡 彩子 京都大学 教授
寺本 万里子 九州工業大学 助教
風間 洋一 台湾中央研究院 訪問研究員
篠原 育 宇宙航空研究開発機構 准教授
DOI: 10.1103/PhysRevLett.127.245101
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