国立大学法人東海国立大学機構 黑料网の松見 豊名誉教授(宇宙地球环境研究所),北海道大学北極域研究センターの安成哲平准教授,同大学院工学院修士課程の若林成人氏(研究当時),同低温科学研究所の的場澄人助教らの研究チームは,パナソニック製の小型PM2.5センサー*1を搭载した,寒冷地でも动作温度环境を自动で保つことが可能な自动温度制御断热ボックスを开発しました(以下,笔惭2.5测定装置)。室内及び低温室における动作确认?検証実験や,冬季札幌?夏季アラスカでの现地観测による,现地の独立した笔惭2.5観測データとも比較検証を行うことで非常に寒冷な環境や,森林火灾のような高濃度PM2.5环境下においての笔惭2.5*2测定にも,开発した装置が十分実用的であることを确认しました。
北极圏では,夏季森林火灾から冬季気温の逆転層形成による大気汚染*3まで,通年を通じて笔惭2.5の测定が求められていますが,これまでは厳冬期の観测が非常に困难でした。本研究で开発した寒冷地仕様の笔惭2.5测定装置は,温度コントローラーの设定温度より少し低くなると,装置内部がヒーターで自动で温められ,外部が极寒でも内部を笔惭2.5センサー动作环境に保つことができるため,冬季や通年で寒冷な场所で笔惭2.5観测を安定かつ継続して行うことが可能になります。また,开発実験では,防水ファンによる强制通风が必须であることがわかりました。北海道大学低温科学研究所の?25℃の低温室実験では,ヒーターが正常に动作し,通风口2つの条件で内部の温度环境をプラスに保つことができることも确认しました。さらに,2019年2月に北海道大学工学部屋上で観测を行い,环境省国设局「国设札幌」で测定された笔惭2.5の1时间値(确定値)の変动と比较したところ,本研究の笔惭2.5測定結果の1時間平均値と変動が整合的であることも確認できました。2019年6月からは,アラスカ大学フェアバンクス校(UAF)国際北极圏研究センター(IARC)に同PM2.5測定装置を設置し,夏季(6-7月)アラスカの森林火灾時の高濃度PM2.5変动を捉えることに成功しました。
今後,冬季に寒冷になるアラスカやグリーンランドなどの北极圏及び南極など通年で寒冷な場所でも,安定にPM2.5の継続観测を行うことが可能となり,笔惭2.5测定が希薄な极寒の地域での観测展开が大いに期待されます。
なお、本研究成果は, 2022年3月10日(木)公開のJournal of Environmental Management誌に掲載されました。
?极寒の寒冷地でも笔惭2.5を连続测定可能な自动温度制御断热ボックスを开発(?25℃で动作确认)。
?冬季札幌の大気環境で検証し,夏季アラスカ森林火灾時にも高濃度PM2.5を観测することに成功。
?今後,極寒になる北极圏や南極など多様な寒冷環境におけるPM2.5観测のネットワーク展开に期待。
◆详细(プレスリリース本文)はこちら
*1 パナソニック製の小型PM2.5センサー…内部の下部ヒーターで上昇流を作り,波長625 nmのLED光を使用して気流中の粒子特性をフォトダイオード検出器で検出し,PM2.5濃度へ換算する(換算用の補正係数は1.3を使用;最小粒子検出サイズは0.3μm)(Nakayama et al., 2018)。現在,パナソニック株式会社から商用版が販売されているが,研究用のものとは最小粒子サイズは異なる。
*2 PM2.5…主に2.5μm(1μm=0.001 mm)より小さい様々な大気汚染微粒子の総称(厳密には,測定時に空気力学径が2.5μmで捕集効率50%になる大気汚染微粒子のこと)
*3 北极圏の夏季森林火灾から冬季気温の逆転層形成による大気汚染…北极圏では,夏季森林火灾(e.g., Yasunari et al., 2018, 2021;過去のプレスリリースも参照)や,冬季気温の逆転層形成時に高濃度PM2.5などの大気汚染(e.g., Tran and M?lders, 2011)が見られることがこれまでの研究から報告されている。
論文名 Developing an insulation box with automatic temperature control for PM2.5 measurements in cold regions(寒冷地におけるPM2.5测定用の自动温度制御断热ボックスの开発)
著者名 安成哲平1,2, 若林成人3(研究当時), 松見 豊4, 的場澄人5(1北海道大学北極域研究センター,2北海道大学広域複合災害研究センター,3北海道大学大学院工学院,4黑料网宇宙地球环境研究所,5北海道大学低温科学研究所)
雑誌名 Journal of Environmental Management(環境管理の専門誌)
DOI
公表日 2022年3月10日(木)(オンライン公开)