国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院工学研究科の萬條 太駿 大学院博士後期課程学生、澤 博 教授らの研究グループは、理化学研究所創発物性科学センターの鬼頭 俊介 基礎科学特別研究員、帝京大学、早稲田大学、東北大学、東京大学、横浜国立大学(研究当時)、広島大学、高輝度光科学研究センターとの共同研究により、大型放射光施設SPring-8注1)におけるX線回折?散乱実験によって、轨道自由度を持つ電子が異方性を持った揺らぎ状態として観測されることを明らかにしました。
電子は、原子核の周りに電子雲として存在しますが、量子力学的に振舞うために離散的な軌道状態をとります。さらに、電子軌道の空間的な異方性は、固体物質の性質(物性)を支配する自由度の一つとして知られています。これまで、秩序化した電子軌道の異方性の観測手法の提案はあるものの、轨道自由度を有して秩序化する前の状態については、直接議論されたことはあまりなく、実空間での形について明確なイメージは持たれていませんでした。
本研究では、鉄とバナジウムの酸化物中の価电子云のみを直接観测し、缩退した电子轨道分布状态を解明しました。このことは、巨大な応答を示す复数自由度の相関を考える上で、新たな知见を与えます。
本研究成果は、2022年2月25日付イギリス英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)の学術誌「Materials Advances」電子版に掲載されました。
本研究は、厂笔谤颈苍驳-8の课题(2019础0070/2020础0835/2021础1575)の支援のもとで行われたものです。
?放射光X線回折実験とコア差フーリエ合成法により轨道自由度を持つ価電子の異方的な分布状態の観測に成功。
?电子が缩退した轨道を时间的に揺らぎながら占有していることを解明。
?轨道自由度を有する電子の本来の姿を解明。
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注1)大型放射光施设厂笔谤颈苍驳-8:
兵库県の播磨科学公园都市にある、世界最高性能の放射光を生み出す理化学研究所の施设で、その利用者支援などは高辉度光科学研究センター(闯础厂搁滨)が行っている。放射光とは、电子を光とほぼ等しい速度まで加速し、电磁石によって进行方向を曲げたときに発生する、细く强力な电磁波のこと。厂笔谤颈苍驳-8では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや产业利用まで幅広い研究がおこなわれている。
雑誌名:Materials Advances
論文タイトル:Do electron distributions with orbital degree of freedom exhibit anisotropy?(軌道の自由度を持つ電子分布は異方性を示すのか?)
著者:萬條 太駿、鬼頭 俊介、片山 尚幸、中村 真一、勝藤 拓郎、新居 陽一、有馬 孝尚、那須 譲治、長谷川 巧、杉本 邦久、石川 大介、Alfred. Q. R. Baron、澤 博
DOI:10.1039/d1ma01113h
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