国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院环境学研究科の松井 仁志 准教授、リウ ミンシュ 研究員らの研究グループは、アメリカコーネル大学、アメリカ海洋大気庁などとの共同研究で、南大洋域における人為起源鉄(化石燃料の燃焼等の人間活動によって放出される微粒子に含まれる鉄)の大気濃度が、従来研究の推定と比べて約10倍多いことを新たに発見しました。
南大洋などの外洋域の海洋表层では、海洋生态系が光合成等のために利用する鉄が不足しており、大気から海洋への鉄供给が、大気中の二酸化炭素(颁翱2)の海洋への吸収を决める重要な役割を果たしていると考えられています。しかし、この海域において、広域的な人為起源鉄の観测例はこれまでなく、その大気浓度や海洋への供给量はよく分かっていませんでした。
本研究では、人為起源鉄に関する新たな広域航空機観測と、全球気候シミュレーションによって、南大洋域において人為起源鉄が大気から海洋への鉄供給の主要な寄与を占め得ることを明らかにしました。そして、この海域において、現在から将来にかけて、大気から海洋への鉄供給量が大幅に減少する予測を初めて示しました。この結果は、将来的にこの海域において、大気CO2の海洋への吸収が抑制され、地球温暖化の加速に寄与する可能性を示唆しており、今後の地球温暖化?気候変动予測の不確実性を減らす重要な知見となることが期待されます。
本研究成果は、2022年4月13日午後6時(日本時間)付で気候科学分野の国際学術誌「npj Climate and Atmospheric Science」に掲載されました。
本研究は、日本学术振兴会?科学研究费助成事业、环境省?环境再生保全机构の环境研究総合推进费、文部科学省?北极域研究加速プロジェクト、公益财団法人木下记念事业団?木下基础科学研究基金助成金などの支援のもとで行われたものです。
?新たな広域航空机観测と数値シミュレーションによって、南大洋域における人间活动由来の微粒子に含まれる鉄(人為起源鉄)の大気浓度が、従来研究の推定と比べて约10倍多いことを初めて実証した。
?人為起源鉄が、南大洋域における大気から海洋への鉄供给の主要な寄与を占め得ることを明らかにした(従来は自然起源の鉄粒子が主要な起源と考えられてきた)。
?この海域において、将来的に大気から海洋への鉄供给量が、大幅に减少する予测を初めて示した。鉄供给量が减少すると、海洋表层の一次生产や二酸化炭素の大気から海洋への吸収が抑制され、地球温暖化の加速に寄与するなど、将来の気候予测にも大きな影响を及ぼす可能性がある。
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雑誌名:npj Climate and Atmospheric Science
論文タイトル:The underappreciated role of anthropogenic sources in atmospheric soluble iron flux to the Southern Ocean
著者:*Mingxu Liu1, *Hitoshi Matsui1, Douglas S. Hamilton2, Kara D. Lamb3,4, Sagar D. Rathod5, Joshua P. Schwarz4, and Natalie Mahowald2
1 黑料网大学院环境学研究科
2 米国コーネル大学
3 米国コロラド大学
4 米国海洋大気庁地球システム研究所
5 米国コロラド州立大学
顿翱滨:10.1038/蝉41612-022-00250-飞
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