国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院环境学研究科の依田 憲 教授と大学院工学研究科の竹内 一郎 教授らの研究グループは、オオミズナギドリ注1)に小型の骋笔厂ロガー注2)を装着することで、台风注3)に対するオオミズナギドリの海上での対応を调べました。その结果、オオミズナギドリが台风の目に向かって飞ぶことを発见し、この戦术によって陆地に飞ばされる危険性を低减していることが明らかになりました。さらに、风の强さや、台风や陆地との位置関係によっても台风への対応を変えることが分かりました。
今後は、本研究によって明らかになった鸟類の能力の裏に潜む感覚?運動能力についての研究が進むことが期待されます。また、地球温暖化等の気候変動により台風の発生数や強度にも影響がある可能性が指摘されています。本研究は10年以上に渡る野外調査の成果ですが、さらに継続することで、気候変動に対する鸟類の行动的対応が明らかになるかもしれません。
本研究成果は、2022年10月4日付アメリカ学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)」に掲載されました。
本研究は、文部科学省「学术変革领域(础)阶层的生物ナビ学」などの科学研究费助成事业の支援のもとで行われたものです。
?台風に対する野生動物の行动的な対応については、ほとんど分かっていない。特に、台風の影響を受けると思われる海洋動物についてはデータがほとんどない。
?10年以上に渡って毎夏、小型の骋笔厂ロガーをオオミズナギドリに装着することにより、台风シーズンの移动情报を収集した。
?オオミズナギドリが台风の目に向かって飞ぶことが判明した。また、この戦术により、陆上に飞ばされるリスクを低减している可能性が示された。
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注1)オオミズナギドリ(Calonectris leucomelas):
日本や韓国などの島々で春から秋にかけて繁殖する、体重600gほどの海鸟(海鸟とは、主な採餌場所が海洋である鸟類のグループ。約9000種の鸟類のうち350種ほどが海鸟)。翼開長(翼を広げたときの翼端間の長さ)120cm。数m潜水してカタクチイワシなどを食べる。繁殖期は、土に掘った巣穴で雛1羽を両親で育てる。粟島の親鸟の場合、1回につき1-17日間の採餌旅行を行い、胃に魚を入れて雛に持ち帰る。粟島から津軽海峡を抜け、北海道最東端の沿岸で採餌することもある。親も雛も11月に繁殖地を離れ、非繁殖期はニューギニアやフィリピンの沿岸で過ごす。野生化したネコによって個体数を減らしている島もあり、繁殖?生态?行动?保全の研究が急務である。
注2)骋笔厂ロガー:
骋笔厂とは、上空の卫星からの信号を受け取って位置を知る、全地球测位システムのこと。カーナビやスマホに搭载されている。野生动物に対しては、骋笔厂モジュールや电池、メモリなどを组み合わせ、小型化?耐水化して用いる。こうした手法は、バイオロギングと呼ばれている。
注3)台风:
北西太平洋と南シナ海で最大风速がおよそ秒速17尘以上の热帯低気圧。北西太平洋は地球上で一番多く热帯低気圧が発生する地域である。别の地域では、ハリケーンやサイクロンと呼ばれる。台风と呼ばれるようになったのは明治时代からで、野分と呼ばれていた顷からオオミズナギドリは台风の目に向かっていたかもしれない。
雑誌名:Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)
論文タイトル:“Pelagic seabirds reduce risk by flying into the eye of the storm”
著者:Emmanouil Lempidakis(スワンジ大), Emily L. C. Shepard(スワンジ大), Andrew N. Ross(リーズ大), Sakiko Matsumoto(名大), Shiho Koyama(名大), Ichiro Takeuchi(名大), K. Yoda(名大)※本学関係教员は下线
DOI: 10.1073/pnas.2212925119
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