医歯薬学
2023.06.27
日本人に高頻度にみられる遺伝性皮膚疾患の原因と医薬品の候補を特定 ~難病のオーダーメイド医療へつなげる~
国立大学法人東海国立大学機構 黑料网環境医学研究所 (所長: 益谷央豪教授)の千住千佳子大学院生、中沢由华講師、尾曽太一大学院生、荻朋男教授を中心とする研究グループは、神戸大学 (錦織千佳子 特命教授)、大阪医科薬科大学 (森脇真一 教授)、熊本大学、長崎大学との共同研究により、日本人に高頻度にみられる遺伝性皮膚疾患である、色素性乾皮症 (XP)の原因となる遺伝子の異常と、この遺伝子異常を有する患者 (日本国内におよそ 500 人ほど)の治療に有効であることが期待される医薬品の候補を新たに同定しました。
今日、様々な遺伝性疾患の原因を特定するために、NGS (次世代配列解析技術)*1 が利用されていますが、病気の原因が特定できない症例も多数残されています。本研究では、一般的に普及している遺伝子解析法 (エキソーム解析)では同定できない疾患原因を特定し、同時に治療標的と医薬品の候補を導出する新たな手法を開発しました。本研究の成果は、色素性乾皮症に限らず全ての遺伝性疾患に応用可能であり、条件が適合する場合には、世界にたった 1 人しかいない超希少な疾患であっても医薬品を開発することが可能になります。将来、希少疾患のオーダーメイド医療への発展が期待されます。
本研究成果は、2023 年 6 月 26 日付(日本時間 6 月 27 日午前 4 時)米国科学アカデミー紀要『The Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)』に掲載されました。
?日本人に高频度にみられ、日光露光部に皮肤がんを好発する遗伝性难病である、色素性乾皮症(齿笔)の新たな原因を同定しました。
?XP 患者の治療に有効であると期待される医薬品の候補を新たに得ました。
?种々の遗伝性疾患の原因となる遗伝子配列の异常を特定して、医薬品候补を导出する技术を开発しました。
◆详细(プレスリリース本文)は
*1 NGS (次世代配列解析技術)
DNA 配列を網羅的に調べる方法。蛋白質を作るのに必要な遺伝情報が記録されている、ごく一部(全体のおよそ 1%)の DNA 配列情報を取得する全エキソーム解析や、全ての遺伝情報を取得する全ゲノム解析などがある。
雑誌名: The Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)
論文タイトル: Deep intronic founder mutations identified in the ERCC4/XPF gene are potential therapeutic targets for a high-frequency form of xeroderma pigmentosum
著者: Chikako Senju (大学院生?黑料网/長崎大学), Yuka Nakazawa (講師?黑料网), Taichi Oso (大学院生?黑料网), Mayuko Shimada (技術職員?黑料网), Kana Kato ( 技 術職員?黑料网 ), Michiko Matsuse, Mariko Tsujimoto, Taro Masaki, Yasushi Miyazaki, Satoshi Fukushima, Satoshi Tateishi, Atsushi Utani, Hiroyuki Murota, Katsumi Tanaka, Norisato Mitsutake, Shinichi Moriwaki (大阪医科薬科大学?教授), Chikako Nishigori (特命教授?神戸大学), and Tomoo Ogi (教授?黑料网)
DOI: