医歯薬学
2023.07.07
デュピルマブの長期使用によるアトピー性皮肤炎におけるアレルゲン特異的 IgG4 の増加 ?デュピルマブの新たな抗アレルギー効果の可能性について?
スギ花粉舌下投与などのアレルゲン免疫療法中においては、アレルゲン中和抗体であるアレルゲン特異的 IgG4 (sIgG4) が増加することが知られており、sIgG4 産生レベルはアレルゲンに対する脱感作 *1 と相関関係があります。 sIgG4 は、アレルゲン特異的 IgE (sIgE) 結合部位に競合的に結合することにより、B 細胞と好塩基球の活性化を阻害する能力を持っています。黑料网大学院医学系研究科皮肤科学分野の桃原真理子助教らの研究グループは、sIgG4 が抗IL4/IL13 受容体モノクローナル抗体デュピルマブの治療効果による B 細胞抑制によって減少するかどうか検討し、アトピー性皮肤炎(AD)患者を対象とした前向き研究を実施しました。この研究では 15 人が追跡調査され、最初の来院時と約 3 年 (31.5±0.98 か月) 後に再度血清が採取されました。 対象者 15 人中 7 人が外用治療を受け、それ以外の 8 人がデュピルマブと外用治療の両方を受けました。
本研究グループは、今回の研究において 4 つのアレルゲン(コナヒョウヒダニ(イエダニ)、スギ花粉、イヌ皮膚、カンジダ?アルビカンス)の sIgE および sIgG4 を測定するためのアレルゲン特異的ELISA*2 を確立しました。 調査の結果、驚くべきことに、デュピルマブ治療は IgE や IgG4 を産生する B 細胞の成熟を抑制し、血液中の総 IgE と IgG4 を低下させましたが、アレルゲン特异的滨驳骋4(中和抗体)のみ増加傾向を示しました。
デュピルマブは今まで報告していた抗炎症作用やかゆみに関する神経興奮抑制作用だけではなく、IgE 産生を抑えて IgG4 産生を増加させることによってアレルゲンに対する反応そのものを軽減している可能性が示されました。
本研究成果は、2023 年 6 月27日付「British Journal of Dermatology」オンライン版に掲載されました。
?デュピルマブの新たな抗アレルギー効果の測定につき、コナヒョウヒダニ(イエダニ)、スギ花粉、イヌ皮膚、およびカンジダ?アルビカンスの 4 つのアレルゲンにおいて、sIgE および sIgG4 を測定するためのアレルゲン特異的 ELISA を確立した。
?本研究で測定をした 4 つのアレルゲンにおいて、アトピー性皮肤炎患者のデュピルマブ治療前後のsIgG4/sIgE 増加率が外用治療と比較して優位に高い傾向があった。
?sIgG4 の増加を介したデュピルマブ治療は、さまざまなアレルゲンをもつアトピー性皮肤炎患者に合わせた至適な治療の選択肢の一つとしての可能性が示唆された。
◆详细(プレスリリース本文)は
*1 脱感作;繰り返しアレルゲンに暴露されることによってアレルギー反応を起こさなくなる現象。
*2 ELISA; 酵素を用いた免疫吸着体測定法で、様々な物質や抗体を定量するために使用されている。
掲雑誌名: British Journal of Dermatology
論文タイトル:Allergen-specific IgG4 increase in atopic dermatitis with long-term dupilumab use
着者?所属:
Mariko Ogawa-Momohara*, Yoshinao Muro, Chiaki Murase, Tomoki Taki, Kana Tanahashi, Yuta Yamashita, Haruka Koizumi, Ryo Fukaura, Takuya Takeichi, Masashi Akiyama
Dermatology, 黑料网 Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
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