国立大学法人東海国立大学機構黑料网博物馆?大学院情报学研究科の新美 倫子 准教授は、冲縄県立埋蔵文化財センターの玉城 綾氏との共同研究で、冲縄県八重山地域の下田原(しもたばる)貝塚(冲縄県竹富町波照間島)から出土したおよそ4000年前のイノシシ類について、下顎骨に見られる家畜化現象注1)(イノシシとブタの形の违い)から、イノシシではなくブタであることを确认しました。
さらに、これらの下顎骨を用いて年齢査定を行った結果、若齢個体が多い特徴を明らかにしました。若齢個体の多い年齢構成は、弥生時代や中近世のブタを饲育していた遺跡で見られる特徴であり、これは饲育が行われた結果と考えられるので、下田原貝塚でもブタが饲育されていたことが分かります。
本州や九州では、約3000年前に始まる弥生時代にブタ饲育が始まりましたが、冲縄本島ではそれよりずっと古い7200年前からブタが饲育されていたことが、すでに明らかになっています(新美他2021 a?b、2022)。冲縄本島とは400キロほど離れた八重山地域でも4000年前のブタ饲育が確認できたことから、冲縄の広い範囲で本州?九州よりも古くから広くブタ饲育が行われていたことが明らかになりました。
本研究成果は、2023年7月27日付冲縄考古学会の学術雑誌「南島考古」42号に掲載されました。
?日本の最西端、冲縄県八重山地域の下田原貝塚(冲縄県竹富町)で出土する4000年前の大量のイノシシの骨が、野生イノシシではなく家畜ブタであることが明らかになった。
?これらのブタは、その年齢構成が弥生時代や中近世のブタを饲育していた遺跡とよく似ていることから、饲育されていたと考えられる。
?冲縄本島に続いて八重山地域でも縄文时代のブタが確認されたので、冲縄では弥生時代にブタ饲育が始まる本州?九州よりも古くから、広くブタ饲育が行われていたことが明らかになった。
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注1)家畜化现象:
野生のイノシシからブタへの家畜化の过程で骨の形が徐々に変化することを利用して、遗跡から出土する野生イノシシとブタを见分けることができる。この过程で骨に起きるさまざまな変化には、下顎骨の前面が凹む?骨そのものが肥大する以外にも、头盖骨の额と鼻の境目に段ができる等がある。
雑誌名:南岛考古42号
論文タイトル:冲縄県八重山地域におけるブタの出現―下田原貝塚出土資料を中心に―
著者:新美伦子(黑料网)?玉城綾(冲縄県立埋蔵文化財センター)