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医歯薬学

2023.10.03

遺伝子発現を活性化するスーパーエンハンサーの再定義 -疾患制御遺伝子を同定する新手法-

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センターエピジェネティクス制御研究チーム(研究当時)の梅原崇史チームリーダー(研究当時、現創薬タンパク質解析基盤ユニット上級研究員)、ナンド?ダス研究員(研究当時)、生命医科学研究センターエピゲノム技術研究チーム(研究当時)の蓑田亜希子チームリーダー(研究当時、現ラドバウド大学准教授)、古関明彦副センター長(免疫器官形成研究チームチームリーダー)、黑料网大学院医学系研究科肿疡生物学の近藤豊教授らの共同研究グループは、がん遺伝子などの発現を強く活性化するスーパーエンハンサー[1]を、ヒストン[2]H4 の高アセチル化[3]状态を指标として再定义することにより、がん细胞の干细胞性[4]の制御に関わるスーパーエンハンサーを见いだしました。
がんなどの疾患細胞では特定の遺伝子の発現が暴走した状態が見られますが、これは細胞増殖などに関わる遺伝子の制御領域がスーパーエンハンサーを形成することが一因と考えられています。スーパーエンハンサーはこれまで、がん細胞で高発現している BRD4[5]などのタンパク质や、エピゲノム[6]の構成タンパク質であるヒストン H3 の 27 番目のリシン残基のアセチル化(H3K27ac)が濃縮しているエピゲノムの領域として見いだされてきました。今回、共同研究グループは、ヒトのがん細胞株である膠芽腫(こうがしゅ)細胞[4]を用いて、ヒストン H4 の 5 番目と 8 番目のリシン残基のアセチル化(H4K5acK8ac)を指標としてスーパーエンハンサーを再定義することにより、がんなどの疾患細胞で特異的に機能している遺伝子を同定する新手法を開発しました。
本研究は、科学雑誌『BMC Genomics 』オンライン版(9 月 27 日付)に掲載されました。

 

◆详细(プレスリリース本文)は

 

【用语説明】

[1] スーパーエンハンサー、エンハンサー、プロモーター
遺伝子発現を制御する機能を持つ DNA 配列。主に遺伝子の本体部分から離れた上流や下流に位置し、遺伝子の転写効率を変化させる特定の DNA 配列のうち、転写効率を高める部分をエンハンサー領域(配列)という。複数のエンハンサー領域から構成された長い DNA 領域で転写効率を強く高める部分をスーパーエンハンサーという。一方、ゲノム DNA 上で RNA を転写開始する位置の近くにあり、遺伝子を発現させる機能を持つ部分をプロモーター領域(配列)という。


[2] ヒストン、クロマチン
DNA を巻き付けることで長大な DNA を核内に収納するタンパク質をヒストンという。代表的なヒストンは H1、H2A、H2B、H3、H4 の 5 種類があり、H2A、H2B、H3、H4の 4 種類(コアヒストン)が二つずつ集まってヒストン 8 量体を形成する。ヒストン 8 量体の周りに DNA が巻き付いた構造をヌクレオソームと呼ぶ。ヌクレオソームを基本単位とするゲノム DNA とタンパク質の高次複合体をクロマチンと呼ぶ。


[3] アセチル化
分子にアセチル基(颁贬3颁翱&尘颈苍耻蝉;)を结合する反応。ヒストンはアセチル基転移酵素と脱アセチル化酵素により、リシン残基の侧锁に可逆的なアセチル化修饰を受ける。ヒストンがアセチル化修饰を受けたクロマチンによって制御される遗伝子は通常、転写が活性化している。


[4] 幹細胞性、膠芽腫細胞
膠芽腫は脳内に生じる悪性度が高い腫瘍の一種。膠芽腫組織の内部には未分化状態の膠芽腫幹細胞が存在している。この細胞は細胞増殖を繰り返しても未分化状態を維持する幹細胞性と呼ばれる性質を備えている。膠芽腫をはじめとする多くのがん組織で幹細胞性を備えたがん干细胞が見いだされており、これががんの発症や再発と結びついていると考えられている。


[5] BRD4
ヒトの核内に存在する一部のタンパク質に共通して含まれるブロモドメインと余剰末端(Bromodomain and Extra-Terminal domain:BET ドメイン)を持つタンパク質。ヒトでは 4 種類(BRD2、BRD3、BRD4、BRDT)の BET ドメイン含有タンパク質が知られている。BRD4 は多くのがん細胞で高発現して腫瘍促進遺伝子の発現調節に関与することから、NUT 中線がん(NMC)や急性骨髄性白血病(AML)をはじめとするがんの治療標的と見なされている。

[6] エピゲノム
細胞内の全 DNA の塩基配列情報を指す「ゲノム」に対し、DNA やヒストンの化学修飾などで細胞の個性を記憶する情報を「エピゲノム」と呼ぶ。エピゲノムのパターンは細胞ごとに特徴がある。本研究では、ヒストン H4 の高アセチル化修飾(H4K5acK8ac)の情報を、ヒストン H3 の 27 番目のリシンのアセチル化(H3K27ac)をはじめとする他のヒストン修飾などの情報と比較して解析を行った。

 

【论文情报】

<タイトル>
Defining super-enhancers by highly ranked histone H4 multi-acetylation levels identifies transcription factors associated with glioblastoma stem-like properties
<着者名>
Nando D. Das, Jen-Chien Chang, Chung-Chau Hon, S. Thomas Kelly, Shinsuke Ito, Marina Lizio, Bogumil Kaczkowski, Hisami Watanabe, Keisuke Katsushima, Atsushi Natsume, Haruhiko Koseki, Yutaka Kondo, Aki Minoda and Takashi Umehara*
<雑誌>
BMC Genomics
<顿翱滨>

 

【研究関係者】