国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院情报学研究科の森 健策 教授は、大阪大学ヒューマン?メタバース疾患研究拠点(WPI-PRIMe)の武部貴則教授、東京医科歯科大学、タケダ-CiRA共同研究プログラム(T-CiRA共同研究プログラム(Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications)※1)、滋贺医科大学の共同研究グループと共に、ヒト iPS 細胞※2由来の血管オルガノイド(翱谤驳补苍辞颈诲)※3を作成し、それを用いて、新型コロナウイルス感染によって血管炎(贰苍诲辞迟丑别濒颈辞辫补迟丑测)※4が発症し、血栓形成が诱発されることを见出しました。さらに、血管炎発症において补体代替経路※5を増幅する D 因子が重要であることを発見し、D 因子を治療標的として抗体製剤を開発。サルへの投与実験によりその効果を実証しました。
新型コロナウイルス感染によって全身の血管で血栓ができやすくなり多臓器不全につながることは知られていましたが、そのメカニズムについては明らかではありませんでした。本研究により、重症化过程で生じる血管内皮の损伤、血栓形成などを抑えることで、重症化予防につながる新规治疗薬の开発が期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Cell Stem Cell」に、10月6日(金)1時(日本時間)に掲載されました。
◆ 新型コロナウイルス感染によって重症化した患者の血液データから、補体代替経路の活性化を伴う血管炎の存在を特定
◆ 新型コロナウイルス感染が可能なヒト血管オルガノイドモデルの開発に成功し、補体代替経路が血管炎や血栓の原因となりうることを発見
◆ 補体代替経路を増幅するD因子に着目し、D因子を阻害する半減期延長型抗D因子抗体を用いて新型コロナウイルス感染モデルの血管炎症状の軽減に成功
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※1 T-CiRA共同研究プログラム (Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications)
2016年度から开始した京都大学颈笔厂细胞研究所(颁颈搁础)とタケダの10年间の共同研究プログラムのこと。颁颈搁础の山中伸弥教授の指挥のもと、颁颈搁础、理化学研究所、东京医科歯科大学の研究者のリードによりアカデミアとタケダの研究者が协働して颈笔厂细胞技术の临床応用に向けた最先端の研究を行っています。
※2 iPS細胞
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)のこと。?体細胞に特定因子(初期化因子)を導入することにより樹立される、ES細胞に類似した多能性幹細胞です。山中伸弥教授グループの研究により、世界で初めて2006年にマウス体細胞を、2007年にヒト体細胞を用いて樹立に成功しました。
※3 オルガノイド(Organoid)
干细胞の自己组织化能力を活用して创出される、臓器あるいは组织の特徴を有する立体组织のことです。
※4 血管炎(贰苍诲辞迟丑别濒颈辞辫补迟丑测)
血管炎は、血管内皮细胞に炎症が生じる状态のことを指し、炎症の原因によってさまざまな种类があります。血管に炎症が起こると血液の流れに不具合が生じて出血や血栓の形成につながり、臓器の血流障害や壊死を起こします。
※5 补体代替経路
补体は、抗体が异物を捉えた后に、抗体の働きを补う役割をします。补体の活性化の経路にはいくつかあり、补体代替経路は抗体がまだ作られていない场合の紧急の経路と考えられています。
本研究成果は、2023年10月6日(金)1時(日本時間)に米国科学誌「Cell Stem Cell」(オンライン)に掲載されました。
タイトル:“Complement factor D targeting protects endotheliopathy in organoid and monkey models of COVID-19”
著者名:Eri Kawakami*, Norikazu Saiki*, Yosuke Yoneyama, Chiharu Moriya, Mari Maezawa, Shuntaro Kawamura, Akiko Kinebuchi, Tamaki Kono, Masaaki Funata, Ayaka Sakoda, Shigeru Kondo, Takeshi Ebihara, Hisatake Matsumoto, Yuki Togami, Hiroshi Ogura, Fuminori Sugihara, Daisuke Okuzaki, Takashi Kojima, Sayaka Deguchi, Sebastien Vallee, Susan McQuade, Rizwana Islam, Madhusudan Natarajan, Hirohito Ishigaki, Misako Nakayama, Cong Thanh Nguyen, Yoshinori Kitagawa, Yunheng Wu, Kensaku Mori, Takayuki Hishiki, Tomohiko Takasaki, Yasushi Itoh, Kazuo Takayama, Yasunori Nio† and Takanori Takebe†
* 筆頭著者
† 責任著者
DOI : https://doi.org/10.1016/j.stem.2023.09.001
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