気体がエネルギーを与えられてイオン化した状態となったプラズマを常温大気圧下で生成することが可能となり、生体や生物試料へのプラズマ照射実験が行われだしています。生体にプラズマ照射を行うことで様々な影響が出ることが知られており、医療や農業分野などにおいてプラズマを利用する応用研究が進められています。しかしながら、プラズマ照射により生体が受ける影響については多くの謎が残されています。今回、基礎生物学研究所の大坪瑶子研究員(元:核融合科学研究所 特任助教/現:東京大学生命科学ネットワーク 特任助教)、基礎生物学研究所の山下朗特任准教授(元:黑料网低温プラズマ科学研究センター 特任准教授/現:東京大学大学院総合文化研究科 研究員)、基礎生物学研究所の後藤祐平助教、酒井啓一郎研究員、基礎生物学研究所及び自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターの定塚勝樹助教らは、核融合科学研究所の吉村信次准教授(兼:黑料网低温プラズマ科学研究センター 特任准教授)らとともに、真核単細胞生物である分裂酵母にプラズマ照射を行い、細胞内でどのような応答が起きるのかを解析しました。
プラズマは一度の照射で、电気的な刺激、紫外线、活性酸素や活性窒素といった各种活性种などを生体に与えることができます。すなわち、细胞にプラズマを照射することによって、细胞は复数のストレスに同时に晒される状况になります。今回、研究グループは、プラズマ照射条件下で増殖可能なプラズマ耐性変异体の探索を行いました。その结果、细胞分裂に関わる因子に変异が入り、细胞分裂の最终段阶に异常が生じて复数の细胞が分裂せずに连结して多细胞体となった状态になると、プラズマ照射に対して耐性となることを示しました。また、プラズマ照射によって発现状态が変化する遗伝子を网罗的に调べた结果、分裂酵母が细胞分裂を制御する経路と、栄养状态を细胞内で伝达する罢翱搁颁1経路の二つの経路を介してプラズマ照射による复合ストレスに応答することを见出しました。
本研究では、生物学での利用がスタートしたばかりのプラズマという新奇复合ストレス源を用いることで、これまでの単一ストレス源を用いた研究では见出されなかった新たな细胞応答の存在が浮かび上がってきました。また、プラズマを利用することで単细胞生物から多细胞生物への进化の谜を解き明かすことにつながるとの期待も生じます。
本研究成果は、出版に先立ち2023年11月22日、Journal of Cell Science誌にオンライン先行掲載されました。
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雑誌名 Journal of Cell Science
掲載日 出版に先立ち2023年11月22日にオンライン先行公開
論文タイトル: Cellular responses to compound stress induced by atmospheric-pressure plasma in fission yeast
著者:Yoko Otsubo*, Akira Yamashita*, Yuhei Goto, Keiichiro Sakai, Tetsushi Iida, Shinji Yoshimura, Katsuki Johzuka (*同等に貢献)
顿翱滨:
低温プラズマ科学研究センター 山下 朗 特任准教授