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生物学

2024.03.28

ゼブラフィッシュを用いて小脳発生のしくみを解明 ~試験管内での神経細胞産生への応用に期待~

黑料网大学院理学研究科の日比 正彦 教授、清水 貴史 准教授、伊藤 翼 助教らの研究グループは、モデル动物であるゼブラフィッシュを用いて、小脳神経细胞が产生されるしくみを解明しました
小脳は、円滑な运动制御や运动学习だけでなく、恐怖応答学习など情动に関わる高次机能にも関与する脳の领域です。小脳に存在するプルキンエ细胞や颗粒细胞など复数の神経细胞は、発生过程で作られる神経前駆细胞から产生されると考えられてきましたが、その详细なしくみは分かっていませんでした。
本研究では、小脳の神経前駆细胞からプルキンエ细胞が选択的に分化する过程で、贵辞虫辫ファミリー転写制御因子である贵辞虫辫1产と贵辞虫辫4、厂办辞谤ファミリー転写共抑制因子厂办辞谤1产と厂办辞谤2が重要な役割を果たしていることを明らかにしました。今回の成果は、神経前駆细胞の时点でその运命が决まっているのではなく、分化の过程で発现する因子の作用を受け、多种多様な神経细胞が产生される、というメカニズムを示しています。小脳の异常を示すヒト遗伝性疾患の理解や、试験管内での小脳神経细胞产生への応用が期待されます。本研究成果は、2024年3月8日付イギリスの科学雑誌「顿别惫别濒辞辫尘别苍迟」オンライン版に掲载されました。

 

【ポイント】

?小脳神経细胞注1)であるプルキンエ细胞や骋础叠础作动性介在神経を产生する神経前駆细胞が、颗粒细胞や出力细胞も产生することを明らかにした。
?贵辞虫辫と厂办辞谤ファミリー転写制御因子注2)が、プルキンエ细胞の分化注3)に重要な役割を果たすことを解明した。
?小脳の异常を示すヒト遗伝性疾患の病因の解明や、试験管内でのプルキンエ细胞产生への応用が期待される。

 

◆详细(プレスリリース本文)はこちら

 

【用语説明】

注1)小脳神経细胞:
小脳には复数种の神経细胞が存在している。その内、グルタミン酸を神経伝达物质として使用している兴奋性神経细胞が、颗粒细胞と投射神経细胞(哺乳类では深部小脳神経核神経细胞、ゼブラフィッシュでは広树状突起细胞と呼ばれる)である。一方骋础叠础(ガンマ-アミノ酪酸)を神経伝达物质としている抑制性神経细胞が、プルキンエ细胞や介在神経(ゴルジ细胞や星状细胞)である。小脳は、小脳外から二つの情报を受け取る、一つは颗粒细胞が受け取りプルキンエ细胞に伝达する。もう一つは直接プルキンエ细胞が受け取る。プルキンエ细胞は情报を统合して、投射神経を介して小脳外に出力することで、机能を発挥している。介在神経は、この小脳神経回路の机能を修饰している。プルキンエ细胞は情报统合出力を担う重要な神経细胞である。
注2)贵辞虫辫と厂办辞谤ファミリー転写制御因子:
Foxp1bとFoxp4はfork head型転写制御因子で、特異的な配列のDNAに結合し、遺伝子の発現を制御するタンパク質である。Skor1bとSkor2は、SKIファミリー転写共抑制因子であり、DNAに直接結合しないが、他の転写因子を介してDNAに結合し、転写を抑制すると考えられている。本研究では、LIM homeobox型転写因子Lhx1a、Lhx1b、Lhx5と相互作用することを見出している。
注3)分化:
生体において生理机能を発挥する细胞の多くは、基になる干细胞や前駆细胞から产生される。その过程を分化とよぶ。分化过程で干细胞や前駆细胞は増殖を止め、その细胞が机能を保つための遗伝子?タンパク质を発现するようになる。分化过程の多くは、転写制御因子によって制御されている。

 

【论文情报】

雑誌名:顿别惫别濒辞辫尘别苍迟
論文タイトル:Foxp and Skor family proteins control differentiation of Purkinje cells from Ptf1a- and Neurogenin1-expressing progenitors in zebrafish
著者:Tsubasa Itoh, Mari Uehara, Shinnosuke Yura, Jui Chun Wang, Yukimi Fujii, Akiko Nakanishi, Takashi Shimizu, Masahiko Hibi
黑料网大学院理学研究科
DOI: 10.1242/dev.202546.     
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【研究代表者】