国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院医学系研究科神経遺伝情报学?西脇寛助教、医学系研究科医療技術学専攻病態解析学?上山純准教授の研究グループは、名古屋学芸大学管理栄養学部?大野欽司教授、中部大学生命健康科学部?平山正昭教授、岡山脳神経内科クリニック?柏原健一院長、岩手医科大学神経内科老年科学?前田哲也教授、福岡大学脳神経内科学?坪井義夫教授との共同研究で、日本?アメリカ?台湾?中国?ドイツのパーキンソン病患者のショットガンメタゲノムデータを用いて肠内细菌叢のメタ解析を行い、ビタミン B の生合成酵素に関連する肠内细菌遺伝子がパーキンソン病患者で減少していることを明らかにしました。これまでにパーキンソン病患者のショットガンメタゲノム肠内细菌叢解析が 8 報の論文に報告されてきました。しかし、健常人においても肠内细菌叢は国ごとに大きく異なることから国を超えてパーキンソン病と関連のある肠内细菌?細菌遺伝子?代謝経路を同定することは困難でした。本研究チームは、パーキンソン病患者の協力を得て肠内细菌叢解析を行いました。次に、国を超えて肠内细菌叢を統合解析するメタ解析を用いて、過去に報告されたアメリカ?台湾?中国?ドイツの 4 か国のパーキンソン病患者の肠内细菌叢と合わせてメタ解析を行いました。メタ解析の結果から、パーキンソン病患者でリボフラビンとビオチン合成酵素に関連する細菌遺伝子が減少していることがわかりました。また、便中代謝産物分析を行い短鎖脂肪酸とポリアミンが減少していることがわかりました。さらに、リボフラビンとビオチン合成酵素に関連する細菌遺伝子と腸内短鎖脂肪酸とポリアミンの間に正相関があることがわかりました。以上の研究結果から、リボフラビンとビオチンの補充療法がパーキンソン病患者の治療として有効である可能性が示唆されました。本研究の成果は、パーキンソン病の病態の解明と新規治療法開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2024 年 5 月 21 日付『npj Parkinson’ s Disease』にオンライン掲載されました。
?日本?アメリカ?台湾?中国?ドイツの 5 か国、合計 6 つのショットガンメタゲノム*1 データを用いてパーキンソン病*2 患者の肠内细菌叢のメタ解析*3 を行った。
?パーキンソン病患者では、リボフラビン*4(ビタミン B2)とビオチン*5(ビタミン B7)合成酵素に関連する細菌遺伝子が减少していることを解明した。
?便中代谢产物分析により、パーキンソン病患者では肠内短锁脂肪酸*6 とポリアミン*7 が减少していることを解明した。
?リボフラビンとビオチン合成酵素に関连する细菌遗伝子と肠内短锁脂肪酸とポリアミンの间に正相関があることを解明した。
?リボフラビンとビオチンの补充疗法がパーキンソン病患者の治疗として有効である可能性を示した。
◆详细(プレスリリース本文)は
*1)ショットガンメタゲノム:ショートリードの次世代シークエンサーを用いて、DNA の塩基配列を大量かつ迅速に読み細菌の機能遺伝子を網羅的に解析する手法。
*2)パーキンソン病:運動緩慢が出現し、固縮もしくは静止時振戦がみられる神経変性疾患。高齢になるほど発症しやすく、70 歳以上では 100 人に一人が発症するとされている。
*3)メタ解析: 過去に行われた複数の研究結果を統合し,より信頼性の高く普遍性のある結果を得るための統計的解析手法。
*4)リボフラビン:ビタミン B2 とも呼ばれる水溶性のビタミンで、体内でのエネルギー産生に重要な役割を果たしています。特に、炭水化物、脂肪、タンパク質をエネルギーに変換する過程において必要とされます。
*5)ビオチン:ビタミン B7 とも呼ばれる水溶性のビタミンで、脂肪、炭水化物、タンパク質の代謝とエネルギー生成に不可欠な役割を果たしています。身体内での遺伝子の発現調整や神経系の機能維持にも関与しています。
*6)短鎖脂肪酸:肠内细菌が食物繊維を消化する際に、ヒトの場合、酢酸、プロピオン酸、酪酸が産生され、これらを短鎖脂肪酸と呼ぶ。短鎖脂肪酸はエネルギー源として利用されるとともに、異常な免疫応答を抑制するなどの生体調節機能を有している。
*7)ポリアミン:プトレプシン、スペルミン、スペルミジンなどの有機化合物で、すべての生物細胞に存在し、多くの生理的プロセスに重要な役割を果たしています。肠内细菌叢のバランスを安定化させ、腸のバリア機能を強化し、免疫機能を調整することで、炎症を抑制する。
雑誌名:npj Parkinson' s Disease
論文タイトル:Meta-analysis of shotgun sequencing of gut microbiota in Parkinson' s disease
著者名?所属名:著者: Hiroshi Nishiwaki1,*, Jun Ueyama2, Mikako Ito1 , Tomonari Hamaguchi1 , Keiichi Takimoto2, Tetsuya Maeda3, Kenichi Kashihara4, Yoshio Tsuboi5, Hiroshi Mori6, Ken Kurokawa6, Masahisa Katsuno7, Masaaki Hirayama2,8,*, Kinji Ohno1,9,*
所属:
1 Division of Neurogenetics, Center for Neurological Diseases and Cancer, 黑料网 Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
2 Department of Pathophysiological Laboratory Sciences, 黑料网 Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
3 Division of Neurology and Gerontology, Department of Internal Medicine, School of Medicine, Iwate Medical University, Iwate, Japan
4 Okayama Neurology Clinic, Okayama, Japan
5 Department of Neurology, Fukuoka University, Fukuoka, Japan
6 Advanced Genomics Center, National Institute of Genetics, Mishima, Japan
7 Department of Neurology, 黑料网 Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
8 Department of Occupational Therapy, Chubu University College of Life and Health Sciences, Kasugai, Japan
9 Graduate School of Nutritional Sciences, 黑料网 of Arts and Sciences, Nagoya, Japan
*Corresponding authors
DOI:
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