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生物学

2024.06.27

経験が「音の聴き分け」能力を上げる仕組み ~ハエの脳で解明、動物の脳にも共通の神経機構~

  黑料网大学院理学研究科?トランスフォーマティブ生命分子研究所(奥笔滨-滨罢产惭)の上川内 あづさ 教授、井本 圭亮 博士後期課程学生らの研究グループは、过去の音経験によって「求爱歌」のリズム识别能力が向上する脳の仕组みを、ショウジョウバエを使って解明しました。
ショウジョウバエは、种ごとに异なるリズムを持つ求爱歌などを利用して、同种のパートナーを选んでいます。リズムの聴き分け能力は求爱歌を聴いた経験によって変化しますが、それを担う脳の仕组みは分かっていませんでした。
本研究では、二种类の神経细胞が互いに接続しあう、という特徴的な形の神経回路が、この能力向上を担っている可能性を明らかにしました。また、ヒトにも共通する神経伝达物质である骋础叠础とドーパミンが、この神経回路への入力を担うことも発见しました。
経験に伴う音识别能力の変化は、ヒトを含む哺乳類や鳥類など多くの動物が示す共通の現象です。本研究の成果は、動物一般が持つ、音识别能力の変化を担う脳の仕組みの共通理解に、大きく貢献することが期待されます。
本研究成果は2024年6月14日付国际科学雑誌「颈厂肠颈别苍肠别」に掲载されました。

 

【ポイント】

?ショウジョウバエのリズム识别能力が音経験により変化する仕组みを解明した。
?互いに接続する抑制性と兴奋性注1)の神経细胞注2)が、识别能力の向上を担っていた。
?神経伝达物质骋础叠础注3)とドーパミン注4)が音経験后の识别能力を调节していた。
?音识别能力が経験で変化する動物の仕組みの一般的な理解につながると期待される。

 

◆详细(プレスリリース本文)はこちら

 

【用语説明】

注1) 抑制性と興奮性:
化学シナプスを介した神経細胞どうしの情報伝達において、情報を受け取る側の神経细胞の興奮性が抑えられる場合を抑制性神経伝達、逆に興奮性を上げる場合を興奮性神経伝達という。また、これらの情報伝達において、抑制性や興奮性の情報を出力する側の神経细胞をそれぞれ抑制性神経細胞、興奮性神経細胞と呼ぶ。
注2)神経细胞:
動物の脳や神経系を構成する特殊な細胞。ニューロンとも言う。「シナプス」と呼ばれる接合部位を形成して、互いに情報をやり取りする。「シナプス」は、神経伝達物質などの化学物質を介する「化学シナプス」と、膜電位変化を直接次の神経细胞に伝える「電気シナプス」に分類される。
注3) GABA:
γ-アミノ酪酸(gamma-aminobutyric acid)というアミノ酸の一種。ヒトを含めた多くの動物の脳や神経系で、主に抑制性の神経伝達物質として機能する。
注4) ドーパミン:
神経伝达物质の一种。ヒトを含めた多くの动物の脳や神経系で机能する。运动调节、ホルモン调节、快の感情、意欲、学习などの制御に関わることが知られている。

 

【论文情报】

雑誌名:颈厂肠颈别苍肠别
論文タイトル:Neural-circuit basis of song preference learning in fruit flies
著者:井本 圭亮、石川 由希、麻生 能功、Jan Funke、田中 良弥、上川内 あづさ  ( 黑料网関係者)
DOI:10.1016/j.isci.2024.110266
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【奥笔滨-滨罢产惭について】()
黑料网トランスフォーマティブ生命分子研究所(奥笔滨-滨罢产惭)は、2012年に文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム(奥笔滨)の1つとして採択されました。
奥笔滨-滨罢产惭では、精緻にデザインされた机能を持つ分子(化合物)を用いて、これまで明らかにされていなかった生命机能の解明を目指すと共に、化学者と生物学者が隣り合わせになって融合研究をおこなうミックス?ラボ、ミックス?オフィスで化学と生物学の融合领域研究を展开しています。「ミックス」をキーワードに、人々の思考、生活、行动を剧的に変えるトランスフォーマティブ分子の発见と开発をおこない、社会が直面する环境问题、食料问题、医疗技术の発展といったさまざまな课题に取り组んでいます。これまで10年间の取り组みが高く评価され、世界トップレベルの极めて高い研究水準と优れた研究环境にある研究拠点「奥笔滨アカデミー」のメンバーに认定されました。

 

【研究代表者】


 

【関连情报】

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