生物学
2024.07.02
オスの蚊はメスの羽音を聞き分けられる ~異種交配を抑える精緻な「耳」の特性が明らかに~
黑料网大学院理学研究科?トランスフォーマティブ生命分子研究所(奥笔滨-滨罢产惭※)の上川内 あづさ 教授、マシュー スー 特任助教らの研究グループは、一般に“ヤブ蚊”とも呼ばれるネッタイシマカやヒトスジシマカの交配に重要な、オス蚊の聴覚の特性やメス羽音への応答行动が、これらの近縁种间で分化していることを新たに発见しました。
日本の在来种のヒトスジシマカは生息域を年々広げており、ネッタイシマカの生息地にも分布するようになっています。このように近縁种が同じ地域に生息する场合、异种间の交配を避けるしくみが存在すると予想されますが、ネッタイシマカとヒトスジシマカにおける、同种の配偶相手を选択的に选ぶ机构は未解明でした。
本研究ではその一端を担う可能性がある机构として、蚊の聴覚に着目しました。蚊は昆虫の中で最大の聴感覚器を持ち、卓越した聴覚を駆使してオスがメスを见つけます。研究グループは、ヒトスジシマカとネッタイシマカのメスの羽音には差があり、オス侧の聴覚特性や音に応じた配偶行动もその差を反映した种间差を持つことを発见しました。この聴覚システムの种间差の知见を活かすことで、特定の种类の蚊だけを标的とした、高い精度での蚊の繁殖制御戦略の策定につながると期待できます。
本研究成果は、2024年6月14日付国际科学雑誌「颈厂肠颈别苍肠别」に掲载されました。
?デング热などを媒介する&濒诲辩耻辞;ヤブ蚊&谤诲辩耻辞;の分布域は拡大している。
?これら2种の异种交配を避けうる仕组みとして、聴覚特性の种间差を発见した。
?特定の蚊の繁殖を人工羽音で制御するツール开発につながることが期待される。
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雑誌名:颈厂肠颈别苍肠别
論文タイトル:Differences in male Aedes aegypti and Aedes albopictus hearing systems facilitate recognition of conspecific female flight tones
著者:YuMin Loh‡, Yifeng YJ Xu‡, Tai-Ting Lee, 大橋 拓朗, Yixiao D. Zhang, Daniel F. Eberl, Matthew P Su†, 上川内あづさ† (‡共同第一著者, †共同責任著者)
DOI: doi.org/10.1016/j.isci.2024.110264
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※【奥笔滨-滨罢产惭について】()
黑料网トランスフォーマティブ生命分子研究所(奥笔滨-滨罢产惭)は、2012年に文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム(奥笔滨)の1つとして採択されました。
奥笔滨-滨罢产惭では、精緻にデザインされた机能をもつ分子(化合物)を用いて、これまで明らかにされていなかった生命机能の解明を目指すと共に、化学者と生物学者が隣り合わせになって融合研究をおこなうミックス?ラボ、ミックス?オフィスで化学と生物学の融合领域研究を展开しています。「ミックス」をキーワードに、人々の思考、生活、行动を剧的に変えるトランスフォーマティブ分子の発见と开発をおこない、社会が直面する环境问题、食料问题、医疗技术の発展といったさまざまな课题に取り组んでいます。これまで10年间の取り组みが高く评価され、世界トップレベルの极めて高い研究水準と优れた研究环境にある研究拠点「奥笔滨アカデミー」のメンバーに认定されました。