黑料网

TOP   >   医歯薬学   >   記事詳細

医歯薬学

2024.12.11

従来の CAR-T 細胞よりも増殖が良好なCAR-T 細胞を開発! ?CAR-T 細胞療法の効果増強を期待?

黑料网大学院医学系研究科 血液?肿疡内科学分野の安達慶高 大学院生、寺倉精太郎 講師、清井仁 教授、ウイルス学分野の佐藤好隆 准教授、名古屋市立大学医学系研究科 ウイルス学分野の奥野友介 教授らの研究グループは、CUL5 遺伝子がキメラ抗原受容体(CAR)T 細胞の増殖を制御していることを発見しました。この CUL5 遺伝子の欠損を起こすことで、CAR-T 細胞の増殖は良好となり、悪性リンパ腫を有するマウスモデルにおいて従来の CAR-T 細胞と比較して優れた抗腫瘍効果を示しました。
昨今CD19を標的したCD19CARを発現するように遺伝子を改変したCD19CAR-T細胞が、再発?難治 B 細胞性悪性腫瘍で有望な結果を示すことが明らかとなり、臨床応用されました。しかし、高い初期奏効率にもかかわらず、多くの患者が最終的には再発しており、CAR-T 細胞の増殖性や生体内での長期持続性が低いことが、不完全な奏効や早期再発と関連していると考えられます。CAR-T 細胞の増殖と持続性に関わる遺伝子を同定するために、ゲノムワイド CRISPR スクリーニングという遺伝子スクリーニングを行い、CUL5 遺伝子が CAR-T 細胞の増殖を制御していることを見出しました。CUL5 の機能欠失を起こすと、JAK-STAT シグナル経路という T 細胞の増殖に重要なシグナルが増強することが示されました。CUL5 欠損 CAR-T 細胞は、B 細胞リンパ腫モデルにおいて、従来の CAR-T 細胞と比較してがん細胞の増殖を抑制しました。さらに CUL5 に対する shRNA を CD19CAR の構造に繋いだ新規のレンチウイルスベクターを用いることで、従来の CAR-T 細胞製造と同様の工程で作成できる CUL5-ノックダウン(KD)CD19CAR-T 細胞を開発し、この治療法もまた良好な抗腫瘍効果を示しました。CUL5KD-CD19CAR-T 細胞は、B 細胞リンパ腫の寛解を持続させ、最終的には治療成績を向上させる可能性があります。
本研究成果は、国際科学雑誌「Nature Communications」に 2024 年 12 月 10 日にオンライン掲載されました。

 

【ポイント】

?血液腫瘍患者に対するキメラ抗原受容体(CAR)-T 療法*1 後の治療成功には、体内でのCAR-T 細胞の増殖と持続性が重要です。
?CD19CAR-T 細胞において、ゲノムワイド-CRISPR スクリーニング*2 を行い、颁鲍尝5ノックアウト(碍翱)*3 が CAR-T 細胞の増殖を向上させることを見出しました。
?マウスモデルにおいて CUL5KOCAR-T 細胞は従来の CAR-T 細胞と比較して良好な抗腫瘍効果を示しました。
?CUL5 の shRNA*4 を CD19CAR の構造に繋いだ新規のレンチウイルスベクター*5 を用いることで、従来と同様の製造工程によって、従来の CAR-T 細胞よりも優れた生存率を示す可能性があります。

 

◆详细(プレスリリース本文)は

 

【用语説明】

*1 キメラ抗原受容体(CAR)-T 療法:
T リンパ球にキメラ抗原受容体と呼ばれる蛋白を発現させることによって、腫瘍表面に出ている抗原蛋白を T リンパ球に認識させる治療のことです。これによって CAR-T 細胞は腫瘍細胞に結合?傷害し、ついでサイトカインと呼ばれる蛋白を放出して免疫を活性化したり、自己増殖してさらに CAR-T 細胞を増やしたりするなどの働きがあります。これまで治癒が望めなかったリンパ腫患者さんに 50%程度の長期寛解をもたらす画期的な治療として注目されています。
*2 ゲノムワイド-CRISPR スクリーニング:
細胞に発現するおよそすべての遺伝子に対して一つの遺伝子あたり 3−5個程度のガイド RNA を用意して発現させることによって、一つ一つの細胞においておよそ一つの遺伝子の働きが失われるようにさせます。その後何らかの細胞選択を行って前後のガイドRNA の数を比べれば、増えているガイド RNA が細胞選択に有利であったものということになります。今回の場合には CAR-T 細胞を腫瘍細胞で繰り返し刺激して、前後で比較していますので、増えているガイド RNA が標的とした遺伝子がわかれば、それがないことが CAR-T 細胞にとって有利であったことがわかります。
*3 CUL5 ノックアウト(KO) :
今回のスクリーニングで明らかになったのは CUL5 という遺伝子を KO して働かなくさせてしまうことによって、CAR-T 細胞がよく増えるようになったということでした。
*4 shRNA:
Short hairpin RNA(shRNA)は短い RNA 配列で、これが遺伝子の発現を調節することが知られていますので、今回我々は KO に代わる方法として shRNA を用いて CUL5の発現を大きく抑えることで KO と同様の効果をもたらすことを示しました。
*5 レンチウイルスベクター:
レンチウイルスベクターはレトロウイルスベクターと並んで、現在 CAR 遺伝子を T リンパ球に遺伝子導入することに用いられる一般的なウイルスベクターです。

 

【论文情报】

雑誌名:Nature Communications
論文タイトル:Cullin-5 deficiency promotes chimeric antigen receptor T cell effector functions potentially via the modulation of JAK/STAT signaling pathway
著者:Yoshitaka Adachi1, Seitaro Terakura1, Masahide Osaki1, Yusuke Okuno2, Yoshitaka Sato3, Ken Sagou1,3, Yuki Takeuchi1, Hirofumi Yokota1, Kanae Imai1, Peter Steinberger4, Judith Leitner4, Ryo Hanajiri1, Makoto Murata1, and Hitoshi Kiyoi1

 

1 Department of Hematology and Oncology, 黑料网 Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
2 Department of Virology, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, Nagoya, Japan
3 Department of Virology, 黑料网 Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
4 Division for Immune Receptors and T Cell Activation, Institute of Immunology, Medical University of Vienna, Vienna, Austria
DOI:

 

 

English ver.

 

【研究代表者】


 

【関连情报】

20250131terakura_f.png