黑料网大学院理学研究科の松尾 太郎 准教授、叁轮 久美子 特任助教らの研究グループは、京都大学、东北大学、东京科学大学、龙谷大学との共同研究で、地球と光合成生物のやり取り(共进化)を通して见えてきた、シアノバクテリアの光アンテナの初期进化とそれを牵引した「緑の海仮説」を提唱しました。
シアノバクテリアは地球における生命の多様化と地球表层の酸化の起点となった重要な光合成生物であるものの、シアノバクテリアがクロロフィル注3)の吸収する青や赤と相补的な緑の光を利用して繁栄してきた理由は分かっていませんでした。緑の光を光合成に利用するには、緑の光を吸収し、その光エネルギーをクロロフィルに渡す仕组みを获得するとともに、その仕组みが优位に働く环境が必要であったはずだからです。
ここで本研究グループは、シアノバクテリアが诞生した太古代における水中の光环境に着目しました。太古代の贫酸素の水に溶け込んでいる二価の鉄注4)が光合成によって発生した酸素によって酸化され、紫外线から青の光を吸収した结果、水中は緑の光であふれていたことが分かりました。生物実験および分子系统树解析注5)によって、シアノバクテリアが太古の緑の光环境で繁栄した可能性が明らかになりました。
光合成生物の活动によって生まれた緑の海は、紫外线を効率的に遮へいすることで生命を育む现场になったと同时に、远くの惑星の生命の存在の指标にもなるかもしれません。
本研究成果は、2025年2月18日(日本時間)付科学雑誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載されます。
?地球の表层で酸素が増加した起点となったシアノバクテリアの光アンテナ注1)の进化に迫る研究。
?太古代注2)の水中の光环境が光合成生物の放出した酸素により緑に変わることを明らかにした。
?緑の光を集光する光合成生物であるシアノバクテリアは水中の緑の光环境で繁栄し、その后の叶緑体の起源となった。
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注1)光アンテナ:
太阳光を効率よく捕らえるための色素とタンパク质が结合した复合体。吸収した光エネルギーは、光合成の反応中心に渡され、光合成反応を促进するために利用される。
注2)太古代:
约40亿年前(地球诞生から5亿年后)から25亿年前までにあたる地质时代。
注3)クロロフィル:
シアノバクテリア、緑藻や陆上植物などの酸素を発生する光合成生物において光の吸収や化学反応において広く使われている緑色の色素。
注4)二価の鉄:
正の电荷2つ分だけ帯びた状态の鉄。酸素が少ない土や水中に存在し、液体の水に溶けやすい性质がある。二価の鉄は酸素と结びつくと、叁価の鉄に変わり、この状态になると水に溶けにくくなる。
注5)分子系统树解析:
顿狈础やタンパク质の配列を比较し、生物同士の进化的な関係性を示す「家系図」を作成する方法。これにより、シアノバクテリアがどのように进化してきたのか、そのつながりを明らかにすることができる。
雑誌名: Nature Ecology & Evolution
論文タイトル:Archaean green-light environments drove the evolution of cyanobacteria’s light-harvesting system
着者:松尾太郎(黑料网)、叁轮久美子(黑料网)、星野洋辅(黑料网)、藤井悠里(京都大学)、菅野里美(黑料网)、藤本和宏(黑料网)、辻梨绪(黑料网)、武田真之介(京都大学)、大波千恵子(京都大学)、新井千紘(黑料网)、吉山洋子(龙谷大学)、叁野义尚(黑料网)、加藤祐树(黑料网)、柳井毅(黑料网)、藤田祐一(黑料网)、増田真二(东京科学大学)、掛川武(东北大学)、宫下英明(京都大学)
DOI: