こんにちは。工学部机械?航空宇宙工学科の松高亜树です。1月12日に行われた「2018年度黑料网経済学研究科オープンカレッジ『自由奔放!サイエンス』」に参加してきました。今回のテーマは「学校の日常を『见える』化するー部活动改革から働き方改革までー」というもので、黑料网大学院教育発达科学研究科の准教授、内田良先生に解説をしていただきました。私は工学部で、教育に関しては勉强したことがなく、全くの素人でした。强いていうなら、内田先生が执笔されたブラック部活动しか読んだことがありませんでした。そんな私が、现代の教育の现状や问题点について考えるようになった讲演内容を皆さんにご绍介します。
始まる前に...
この讲义は10时から12时までの予定だったのですが、先生が时间になっても坛上に现れませんでした。どうやら先生がくるのが遅れたようで会场内はざわついていました。すると、一人の参加者の方が「ここに来ている皆さんは教育関係者の方が多いので、それぞれ教育のことに関して考えを持っていらっしゃる。先生が来るまで、自由讨论という形で、现代の教育のあり方についてディスカッションしよう。」と発言しました。そこから、挙手制で意见交换が30分ほど行われたのち、先生が到着され讲演が始まりました。
以下、先生の讲演の概要を书いていきます。少し长いですが、ぜひご覧ください。
先生の绍介
黑料网の経済学部を卒业しており、経済学部は割と数字に重きをおいています。他方で教育学部は、教员の情热に重きを置いています。あれ大事、これ大事、子どものためといって教师の仕事が増えて今にいたっているが教育の问题です。先生は経済学部なので、数字を使って教育をどう语れるかということを信念でやっています。
イントロダクション?算数で仕事をするとは?
先生は算数で仕事をしています。それに先立ち、算数で仕事をするとはどういうことかを基本的な数字で説明します。全国で子どもが一学年に何人いるかご存知でしょうか?正解は100万人です。何万人という数字をみると私たちは多いと思うのでまず、数字の基础を知っておくことが大事です。
次に、都道府県ごとのいじめの件数を见ていきます。みなさんはいじめの件数の多い都道府県か少ない都道府県かどちらに住みたいでしょうか?ほとんどの人はいじめの件数が少ない都道府県を选びます。しかし、正しい答えは、いじめの件数が多い都道府県に住んだ方がいいのです。それは何故でしょうか?そもそも、いじめの件数は教师が発见して初めてカウントされます。いじめは私たちが见つけようと思えば见つけられ、无视しようと思えば无视できるものです。つまり、子ども达がじゃれあっている光景を、教师が「青春、楽しそう」と认识し、そのままにしたらいじめとカウントされません。ということは、いじめの件数が多いところは、いじめを见つけてくれている场所なのです。决して数字が大きいほど悪いというわけではありません。しかし、いじめの件数が多い京都府は、世间でひどいと言われています。そんな京都とは対照的に、いじめの件数の少ない佐贺県は素晴らしいと言われています。マスコミが佐贺県におもむき、インタビューをして「いじめを防止した成果」というような声を闻きます。この茶番が起きる理由は、私たちに情报を読むリテラシーがないからです。
さらに、いじめと不登校の都道府県によるばらつきを见ていきます。衝撃的なことに圧倒的に不登校の方がばらつきは小さいのです。その理由は简単で、出席しているかしていないかは、客観的に见て明らかで、无视できないからです。学力格差においても都道府県でほぼ差がないので、同じことが言えます。このことからわかるように、私たちが最も気にしている学力の都道府県格差はほとんどなく、人の命に関わるいじめの都道府県格差は圧倒的に大きいのです。さて、私たちは格差格差と心配しているのに、学力だけ见ていていいのでしょうか?このように、数学を勉强して色んな数字を见ていくと、今まで语られていない问题がたくさん见えてきます。
学校安全という言叶は1950年代からあります。しかし、その背景に子どもが何人死んでいるかというデータがありません。ただ子どもの命を守るための情热しかありません。内田先生は新闻の记事を1ヶ月かけてカードにして、その数をカウントしていきました。そうして分かったことの1つは、柔道で起こったある死亡事故と全く同じ原因の事故が繰り返し起こっていることです。その时期は5?8月に多かったことも合わせると、事故の原因は、初心者がいきなり试合形式の练习をしたからということが分かりました。このように、数字に向き合って初めてわかることは数多くあります。
世の中は変えられる
2012年の柔道の死亡事故は0件になりました。それは、2011年にマスコミが騒ぎ、国が动いたからです。国は教育内容にできるだけ口出ししないというルールがあります。口出ししすぎると戦时中のような状态に戻ってしまうからです。しかし、しばらく口出ししなかったことが原因で、学校がおかしなことをするようになりました。その例として、组体操で年に8,000件骨折事故が起こっていましたが、それも2012年には、名古屋市の怪我の9割はなくなりました。大事なのは、组体操をやっている学校は2割しか减っていないということです。组体操をやっているけれど、怪我が减っている。みんなが楽しんでやれるようなものを持続可能にしていくことが重要です。子どもは死ななくなりました。组体操も柔道もそれを达成できたのです。
组体操?组立体操の権威である日本体育大学の荒木达雄教授も、いろんな学校を见にいくそうです。そこで土台の子が泣きそうになりながら组体操をやっているのを目撃しました。荒木先生は「やめてくれ」と言ったそうです。组体操を普及する人が组体操をやめてくれと言ったのです。こんなことを続けたらみんな组体操を嫌いになるからです。トップのトップは竞技の普及を考えるので、普及したい竞技中に竞技が原因で骨折されたら困ります。ところが、学校は运动会がその日1日だけ盛り上がればいいと考えています。部活动も学生の在籍する3年间が盛り上がればいいと考えています。しかし、子どもの人生は続いていきます。内田先生の周りに、全国を目指していたような人が大学で部活を続けることに対して「勘弁してください」と言ったことがあるそうです。これは明らかに问题です。身につけた能力をこの先に活かそうとしていないからです。こういう例がたくさんあります。これをいかにサステナブルにしていくかが大事です。
教员の働き方に関する话
子どもが亡くなった时、マスコミや世论は、学校に向けて戦车を寄せてきました。つまり、学校でそのような事件が起こった时、私たちは、「学校は隠し事をしている」そう言い続けてきました。しかし、この2年间でそれは変化してきています。「先生大丈夫?」と声をかけるようになってきているのです。
2年前、ブラック部活ということを狈贬碍がクローズアップ现代で取り上げました。これに内田先生は最初から関わっていました。ブラック部活と言われるのには2つ可能性があり、1つは子どもの负担でもう1つは先生の负担です。内田先生が考えて欲しいことは、働き方改革が始まった时、学校の先生から「やる気をなくす」と言われたことです。学校の先生は、夜8时9时まで时间を费やし、土日も働いて、子どもが试合に胜ったり、授业で辉いたりすると、「顽张ってよかった」と思い、これで満たされているのです。つまり、学校の先生は夸りを持って満足して働いています。ここを考えなければいけません。
先生たちにいらない仕事はあるかと寻ねると、いくつも出てきます。しかし先生は决まって、教育的意义を考えて、「やっぱり大事だよね」と言います。ここで大事なのはこれに优先顺位をつけることです。学校でやることはなんでも意义があります。体罚でさえも少なくとも当人にとっては意义があるのです。そこで优先顺位をつけることが大切なのですが、学校ではそれが通用しません。学校では、子どものためにいくらでも自己犠牲を払えます。お金のことは考えずに、子どものためにいくらでも时间を使っている教师は「献身的教师」と呼ばれています。そんな状况下の学校は救急车がくる一方で、无风状态です。教员の働き方がネットで盛り上がってきたのは理由があります。学校では献身的教师像があるので、働き方について学校で文句を言ったら叩かれるのです。しかし、教师は教育者である前に労働者なのです。
教育现场の现状?タイムカードの必要性?
教员の半数が过労死ラインを超えています。それを示す大きな特徴として、タイムカードが设置されている学校は1割から2割しかありません。その代わりに出勤簿が一番よく使われていますが、これでは生きていることしか分かりません。平均で学校に11、12时间いるのにも関わらず、印鑑でしか管理をしていないないのです。逆に言えば、このようなことをするから、长时间労働に繋がるのです。ところが、学校现场にタイムレコーダーを取り入れようとすると、先生方から反発がきます。「教坛で倒れるならこれは本望だから」これに関しては论外ですが、「退勤は记録するなと言われるから」、「土日は记録するなと言われるから」、「持ち帰り仕事が増えるだけだから」ということが理由であれば、学校もテレワークの时代に乗っかっていけばいいだけの话です。
内田先生がこのように时间管理にこだわるのは过労死遗族に会ったことが原因です。夫が修学旅行から帰ってきて、すぐ亡くなった人の奥さんです。彼女が夫の勤务时间を学校に闻いてみても「わからない」と言われたそうです。彼女は何ヶ月もかけて、夫の手帐やファイルを见て、勤务时间の一覧表を作りあげました。これはタイムカードがあれば10秒で済むことです。なんの罪もない人に、自分の最爱の人がなくなったプロセスを何ヶ月もかけて毎日追わせてしまい、懺悔の日々を送らせてしまっていたのです。そうしてようやく、夫が1ヶ月で200时间も残业、持ち帰り仕事をしていたことが分かりました。こんな事例はいくつもあります。高速道路の贰罢颁の通过时刻がタイムカードの代わりになった事例もあります。
また、教师の中の半数は休憩时间を知りません。ノンストップで働いているから休憩时间がわからないのです。こんな中、授业準备をいつするのでしょうか?前に出会った先生は1ヶ月の授业準备时间は0分と言っていたそうです。それぐらい悲惨な状况なのです。
学校の先生の给料について
学校の先生は时间外労働をするので、给料を上乗せしてもらっています。これは给特法という法律で定められています。残业时间が増えても上乗せされる给料は変わりません。时间外の业务に関しては労働が労働とみなされません。先生の不払い残业は合法になっているのです。先生だけが给特法で残业代が支払われていません。残业代が出ないことは保护者にも知られていません。これからは、教员のこなす仕事を外に広げていく流れになります。その仕事が自分にふってくることになると、我々は拒否してしまうのでしょうか?これからディスカッションする必要があります。
部活でろうかを走るのはおかしい?
部活の时间の直前まで「ろうかを走るな」と言われていたのに、部活の时间になると「走れ」と命令されるのはおかしいです。部活の时间になるとルールが逆転するのでしょうか。部活では、子どもに危険な事をやらせているのです。なぜ、このようなことが起こっているのでしょうか?答えは
「制度设计がないから」
部活は「学校でやる」ということ以上のことは决まっていないのです。学校は授业のために作られているので、部活动に必要な人、もの、お金、场所全てが足りません。土日に先生が车で生徒を试合会场まで连れていって事故を起こした事件がありました。その后、惊くべきことに、先生方には安全运転讲习が行われました。このように教育现场は矛盾に矛盾が重なった现状となっているのです。学校の行事の远足では、全体に教师は运転などせず、运転手を雇います。また、先生が行ったこともない雪山にいき生徒を死なせてしまった事例もあります。そして、授业用のグラウンドで、ハンマー投げの练习をしていた生徒が投げたハンマーが、サッカー部の生徒に当たって死なせてしまった事例もあります。このように、学校の施设を无理やり部活动の施设として転用することによって起こる事件はいくつもあります。
学校は、部活动に関する垂れ幕はたらすのに、勉强の成绩の垂れ幕は垂らしません。これは何故なのでしょう。胜つということに凝りだすとみんなにプレッシャーがかかります。プロならまだしも、学校でそのような状况になるのはいかがなものでしょう。部活动は自主的で制度设计がないから加热するのです。また、5时以降の労働も制度设计がないから加热するのです。教员が提供するサービスが肥大化していった结果が现代の教育です。まずは、部活动の规模を缩小し、部活动で起こる事故を减らすことから始めませんか?
コラム
「自分は英语の先生として学校に入ったのに、部活の时间で授业の準备ができない。」という学校教师の声がありました。それに対して他の教师が「それは一部の问题だ」と言い、声を上げた人の声をないがしろにしました。この一部の人が被害を被るものをみんなで考えるのが教育问题、社会问题です。冲縄の米军基地问题や地震、津波、いじめ、不登校これら全て一部です。一部の人の问题だからという理由で盖をして、问题を见なかったことにするのは间违っています。そんな问题はみんなで考えるべきなのです。
Profile
所属:工学部机械?航空宇宙工学科1年生
出身地:叁重県
出身校:叁重県立四日市南高等学校