国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院理学研究科の大澤 志津江 教授、赤井 菜々美 研究員らの研究グループと京都大学生命科学研究科の井垣 達吏 教授の研究グループは、体の成長に遅れが生じた際に、翅成虫原基 注1)と呼ばれる组织が、自らの细胞を杀しながらその分余分に细胞をうみだす「细胞の入れ替え(细胞ターンオーバー)」をさかんに行い、これにより、体の成长速度の遅さと足并みを揃えることを発见しました。すなわち、体の成长に合わせて组织もゆっくりと成长するのではなく、ターンオーバーをさかんに行うことで、组织の実质的な成长速度を遅らせるという、まさに生命の神秘に迫る现象が発见されたといえます。
成长中の体が様々な撹乱に対処する过程で、そのプロセスに遅れが生じることがあります。しかしながら、组织を构成している细胞集団が、个体の成长遅延に対してどのように対処し、正常に発生しているのか、その仕组みは分かっていませんでした。研究グループは、幼虫期の成长が遅いショウジョウバエ惭颈苍耻迟别変异体(※进化的に保存された一连のリボソームタンパク质遗伝子の机能欠失変异をヘテロにもつ変异体の総称)をモデルとして用い、ショウジョウバエ幼虫の成长が遅れた际に、翅成虫原基が细胞ターンオーバーをさかんに行なって成长速度を遅らせること、そして、この细胞ターンオーバーを遗伝学的に抑制すると、种々の翅脉のパターンや形态异常が翅(はね)に出现することを见いだしました。すなわち、个体の成长速度と足并みを揃えるために行われる「细胞ターンオーバー」机构は、様々な表现型(翅脉のパターンや形态)が翅に出现することを抑制しており、この机构が破绽すると生物の进化が引き起こされ得ることを示唆しています。また兴味深いことに、今回モデルとして用いた惭颈苍耻迟别変异体と同様のリボソームタンパク质遗伝子のヘテロ変异が様々なヒトの疾患(リボソーム病注2)と総称される)を引き起こすことが知られています。したがって、本研究成果はリボソーム病の発症机序の解明や、将来的には新しい治疗戦略を构筑することに贡献することが期待されます。
この研究成果は、2021年1月28日付(日本時間1月29日午前4時)米国科学雑誌PLOS Geneticsオンライン版に掲載されます。
この研究は、文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域「細胞競合:細胞社会を支える適者生存システム」(26114002)、「進化制約方向性」(20H04866)、挑戦的研究(19K22423)、三菱財団、東レ科学振興会、稲盛財団、千里ライフサイエンス振興財団、山田科学振興財団の支援のもとで行われたものです。
?ショウジョウバエ幼虫の成长が遅れると、翅成虫原基が「细胞ターンオーバー」をさかんに行い、これにより、幼虫の成长と&濒诲辩耻辞;足并みを揃えて&谤诲辩耻辞;成长していくことを発见。
?翅成虫原基での细胞ターンオーバー机构が破绽すると、様々な翅脉のパターンや形态异常が翅に现れることを遗伝学的実験により解明【生物进化と関连する可能性】。
?リボソーム病を理解する上で重要な知见となり得る可能性。
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注1)翅成虫原基:将来翅のブレード领域を形成する幼虫期の上皮组织。
注2)リボソーム病:リボソーム関连遗伝子の异常を原因とする疾患の総称。先天性の赤血球造血障害を示すダイヤモンド?ブラックファン贫血や、后天性血液疾患である5辩欠失症候群、先天性无脾症などが挙げられる。
雑誌名:PLOS Genetics
論文タイトル:Epithelial cell-turnover ensures robust coordination of tissue growth in Drosophila ribosomal protein mutants
着者:
赤井 菜々美(黑料网大学院理学研究科)
大澤 志津江(黑料网大学院理学研究科)
山銅 ゆかり(京都大学大学院生命科学研究科)
井垣 達吏(京都大学大学院生命科学研究科)
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