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生物学

2021.04.08

赤キャベツから新しい青色天然着色料を発見 -青色1号に代わる美しく安定なアントシアニン色素-

国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院情报学研究科の吉田 久美 教授らは、マースリグレー社、カリフォルニア大学デイビス校及びオハイオ州立大学(アメリカ)、アヴィニヨン大学(フランス)、国際大学院大学研究所(イタリア)との10年に渡る学際的な国際共同研究の結果、赤キャベツのアントシアニンから青色天然着色料を発見しました。この色素は、合成タール系色素の青色1号に代わるものと期待できます。

食品着色料は、料理に彩りを与え、食欲を増进させる効果などから饮料、菓子类を含め多く使用されています。昨今は合成着色料から天然の安全な着色料への転换が进んでいますが、その中で青色だけは天然色素による安定な発色が困难で、合成色素の青色1号が使われ続けてきました。また、青色着色料は黄色と混ぜることで緑色となることから、天然由来の安全な青色着色料の开発は切望されてきました。

赤キャベツのアントシアニンは、これまでも赤?紫色の食品着色料として使われてきました。しかし、成分は10种以上の色素混合物であり、透き通った青色を発色させることはできませんでした。个々の成分の発色と安定性を调べた结果、笔2と番号をつけたアントシアニンのアルミニウム错体だけが、青色1号とほぼ一致する色を示し、安定であることがわかりました。そこで次に、赤キャベツからこの色素だけを纯粋に大量に调製する方法を开発しました。同时に、青色色素の化学构造と発色机构を机器分析と计算化学で解明しました。この色素をチョコレートのコーティングやアイスクリームの色付けに使ったところ、青色1号と逊色のない色が得られ、保存安定性も非常に优れていました。产业利用可能な、极めて有望な青色天然着色料であることがわかりました。

本研究成果は、2021年4月7日付(日本時間4月8日午前3時)Science Advancesオンライン版に掲載されます。

 

【ポイント】

?合成タール系色素である青色1号1)に代わる天然着色料が切望されていた。

?安全な赤キャベツのアントシアン(笔2)を用いて、青色1号に匹敌する青色発色と安定性を併せ持つ着色料を见出した。

?アントシアニン3分子がアルミニウムイオンと错体形成した构造であることがわかった。

?チョコレートのコーティング、アイスクリームの着色などでその発色と安定性が确かめられた。

 

◆详细(プレスリリース本文)はこちら

 

【用语説明】

1) 一般名ブリリアントブルーFCF表される、食用タール色素に分類される合成着色料である。多くの飲料、菓子類などに使用されている。

 

【论文情报】

雑誌名:Science Advances

論文タイトル:Discovery of a natural cyan blue: A unique food-sourced anthocyanin could replace synthetic brilliant blue

(天然のシアンブルーの発见、食品由来のアントシアニンが青色1号に代わる着色料となり得る)

著者:Pamela R. Denish(カリフォルニア大学デイビス校), Julie-Anne Fenger(アヴィニヨン大学), Randall Powers(マースリグレー社), Gregory T. Sigurdson(オハイオ州立大学), Luca Grisanti(シカゴ大学、ルーダーボシュコビッチ研究所), Kathryn G. Guggenheim(カリフォルニア大学デイビス校), Sara Laporte(シカゴ大学、国際大学院大学研究所(イタリア、トリエステ)), Julia Li(マースリグレー), Tadao Kondo(黑料网客員教員), Alessandra Magistrato(国際大学院大学研究所(イタリア、トリエステ)), Mícheál P. Moloney(アヴィニヨン大学), Mary Riley(カリフォルニア大学デイビス校), Mariami Rusishvili(シカゴ大学), Neda Ahmadiani(オハイオ州立大学),  Stefano Baroni(国際大学院大学研究所(イタリア、トリエステ)、ルーダーボシュコビッチ研究所), Olivier Dangles(アヴィニヨン大学), Monica Giusti(オハイオ州立大学), Thomas M. Collins(マースリグレー社), John Didzbalis(マース研究所), Kumi Yoshida(黑料网教授), Justin B. Siegel(カリフォルニア大学デイビス校), Rebecca J. Robbins(マースリグレー グローバルイノベーションセンター)

DOI: 10.1126/sciadv.abe7871

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【研究代表者】