医歯薬学
2021.06.09
日本人の年齢?性别による大腿四头筋の筋肉量と质の违いが明らかに
国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院医学系研究科整形外科学(教授:今釜史郎、同博士課程 4 年/当センター研究生:水野隆文)は、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:荒井秀典)、ロコモフレイルセンター(センター長:松井康素)、老化疫学研究部(旧 NILS-LSA 活用研究室)(部長:大塚礼)との共同研究において、サルコペニアのより的確な診断方法を検討するため、大腿中央部を撮影した CT※1 画像より計測される大腿四头筋の筋肉の量、質に注目し、性別?年代別での違いや膝伸展筋力との関係性について明らかにしました。研究成果は、国際科学誌「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」の web 版に 2021 年 5 月 19 日に掲載されました。
加齢や疾患により筋肉量と筋力?身体机能が低下する状态をサルコペニア※2と言います。サルコペニアはフレイルの主な要因として知られており、転倒、日常生活动作の障害、生活の质の低下、死亡などと関わるために、超高齢社会にある日本においてサルコペニアの対策は喫紧の课题であり、高齢者の自立促进を目指す、国立长寿医疗研究センターの主要研究テーマの一つです。サルコペニアのアジアの诊断基準の策定には荒井秀典理事长が主导者として携っています。
サルコペニアの診断は現在 DXA 法※3または BIA 法※4による筋量の測定と筋力(握力)と身体機能(歩行速度など)の測定を組み合わせて行われています。近年、筋肉の量のみならず筋肉の質を評価することの重要性が提起されてきています。筋肉の内側や周囲への脂肪の蓄積や、繊維化が起こることで筋肉の質が低下すると考えられていますが、筋肉の質を定量化するために CT 画像の濃度を利用した評価方法が提案されています。
今回の我々の研究では、高齢になるほど筋肉の量も質も共に男性が女性と比べて急激な低下を示すことや、膝伸展筋力には量も質も関係していることを明らかにしました。また、大腿四头筋を 4つの細かい筋肉に細分化した詳細な検討でも、筋肉毎に筋力への関係度合いに男女差があることなどを明らかにしました。 今後はこれらの情報をもとに、CT によるより的確なサルコペニア診断方法の確立、他の診断機器での評価への応用、質の低下する筋肉へ焦点を当てた運動介入方法の開発などへ繋がっていくことが期待されます。
なお本研究は、日本学术振兴会科学研究费(研究代表者:松井康素)の助成を受けて行われました。
●日本人の中高年の地域住民において、大腿部の筋肉量と质には男女の违いがあり、高齢者ほど量も质も低く、特に男性は高齢になると加速度的に低値を示すようになる。
●筋力の発挥には、筋肉の量も质も重要な役割を果たしている。质と量を合わせて评価することで筋肉の状态をより正确に把握することができる。
●本研究の成果は、将来的に CT によるサルコペニアの診断法の確立や他の診断機器への応用が期待される。
◆详细(プレスリリース本文)は
※1 CT
コンピュータ断层撮影検査の略语。轮切り画像を撮影する。
※2 サルコペニア
加齢や疾患により筋肉量と筋力?身体机能が低下する状态。
※3 DXA
骨密度の計測に使用されてきた装置だが、サルコペニア診断においては筋量の計測に用いられており、サルコペニア診断のゴールデンスタンダードの 1 つとなっている。Dual energy X ray absorptiometry の略。
※4 BIA
人体に微弱な交流電流を流し、電気抵抗値であるインピーダンスを測定することで体内の脂肪や筋肉、骨などの体組成を推定する方法でサルコペニア診断にも用いられている。Bioelectrical Impedance Analysis の略。
掲雑誌名:Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle
論文タイトル:Differences in the mass and quality of the quadriceps with age and sex and their relationships with knee extension strength
著者:水野 隆文 1,2, 松井 康素 2, 富田 真紀子 3, 鈴木 康雄 2,4, 西田 裕紀子 5,丹下 智香子 3, 下方 浩史 3,6, 今釜 史郎 1,大塚 礼 3, 荒井 秀典 7
所属:
1 黑料网整形外科, 2 国立長寿医療研究センター ロコモフレイルセンター,3 国立長寿医療研究センター NILS-LSA 活用研究室,
4 日本福祉大学 健康科学部 福祉学科,5 国立長寿医療研究センター 老化疫学研究部, 6 名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科,
7 国立長寿医療研究センター
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