国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院工学研究科の永岡 勝俊 教授、宮原 伸一郎 研究員、京都大学触媒?電池元素戦略研究拠点の佐藤 勝俊 特定講師らの研究グループは、安価な材料から構成され、再生可能エネルギーの利用に適した温和な条件の下で極めて高いアンモニア合成活性(アンモニア生成速度)を示す、新型触媒(Co@BaO/MgO)の開発に成功しました。
アンモニアは水素の贮蔵?输送媒体として注目されており、最近では火力発电の燃料としても期待されています。これまで、再生可能エネルギーの利用に适した温和な条件でアンモニアを合成するためには高価で希少な资源であるルテニウムを使用する必要があり、ルテニウムを含まない高活性触媒の开発が强く期待されていました。
研究グループでは、比较的安価なコバルト注1)に注目し、ナノ粒子化したコバルト(コア)を、反応のプロモーターである酸化バリウム(シェル)で覆った特徴的な活性点構造を構築することで、ルテニウム触媒を凌駕する触媒性能を実現しました。さらに、九州大学超顕微解析研究センターの松村 晶 教授、北海道大学大学院理学研究院の武次 徹也 教授らとの共同研究によって、活性点が形成されるメカニズムや反応に対する作用機構を解明しました。
本研究で开発された触媒は安価な元素を用いており、简単に调製できて取り扱いも容易な酸化物をベースとしているため工业化に适しています。本触媒によって再生可能エネルギーを利用したカーボンフリーなアンモニア(グリーアンモニア)の生产プロセスの実现が望まれます。また、今回の触媒设计を応用することで、さらに高活性な非贵金属系アンモニア合成触媒が创製できると期待できます。
本研究成果は、2021年10月14日付米国科学雑誌「ACS Catalysis」オンライン版に掲載されました。
?再生可能エネルギーで実现が可能な温和な条件の下、高い活性を示す非贵金属触媒(工业化に适した调製方法で容易にハンドリングが可能)を开発した。
?安価でありながら、重量あたりでは従来型の贵金属触媒を凌驾するアンモニア生成速度を达成した。
?高いアンモニア生成活性の原因である特殊な表面构造の形成メカニズムとその作用机构を解明した。
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注1)コバルト:
迁移金属の一种であり、リチウムイオン电池の电极、合金、磁石など、工业的に広く利用されている。触媒としては石油精製用の脱硫触媒がよく知られている。これまでにもアンモニア合成触媒として研究例はあるが、コバルトは窒素の表面への吸着エネルギーがルテニウムに比べて小さく(吸着力が弱く)、アンモニア合成の律速段阶である窒素分子の解离を十分に进めることが出来ないため、高活性なコバルト系アンモニア合成触媒の実现は难しいと考えられてきた。
雑誌名:ACS Catalysis
論文タイトル:Barium Oxide Encapsulating Cobalt Nanoparticles Supported on Magnesium Oxide: Active Non-noble Metal Catalyst for Ammonia Synthesis under Mild Reaction Conditions.
著者:Katsutoshi Sato,[a,b]* Shin-ichiro Miyahara,[b] Kotoko Tsujimaru, [c] Yuichiro Wada,[c] Takaaki Toriyama,[d] Tomokazu Yamamoto,[d,e] Syo Matsumura,[d,e] Koji Inazu,[f] Hirono Mohri,[g] Takeshi Iwasa,[a,h,i,j] Tetsuya Taketsugu,[a,h,i] and Katsutoshi Nagaoka[a,b]*
[a] Elements Strategy Initiative for Catalysts and Batteries, Kyoto University
[b] Department of Chemical Systems Engineering, Graduate school of Engineering, 黑料网
[c] Faculty of Science and Technology, Oita University
[d] The Ultramicroscopy Research Center, Kyushu University
[e] Department of Applied Quantum Physics and Nuclear Engineering, Kyushu University
[f] National Institute of Technology, Numazu College
[g] Graduate School of Chemical Sciences and Engineering, Hokkaido University
[h] Department of Chemistry, Faculty of Science, Hokkaido University
[i] Institute for Chemical Reaction Design and Discovery (WPI-ICReDD), Hokkaido University
[j] PRESTO, Japan Science and Technology Agency
DOI: