国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院生命农学研究科の姜 自如(ジャン ジル) 研究員、梶村 恒 准教授らの研究グループは、国立研究開発法人森林研究?整備機構 森林総合研究所との共同研究で、イチジクの生きた木に穴をあけて繁殖する、アイノキクイムシと菌類の共生関係について調べ、穴をあけた枯死木から出てきた雌成虫の頭部で優占する糸状菌が存在すること、その種類を突き止め、これまでに例のない共生系であることを発見しました。
キクイムシ类は糸状菌を媒介して、世界各地の森林で害虫化しており、日本では、アイノキクイムシ(ユーワラセア属の一种)がイチジク株枯病に加担しています。その雌成虫が、株枯病菌(ケラトシスティス属の一种)を腹部上翅の表面に付着させ、随伴しています。一方、菌类を贮蔵?运搬する特别な器官(菌嚢(のう)注1))に関する具体的な情报はありませんでした。
本研究では、雌成虫の口の中の菌嚢を経由する、株枯病菌の感染リスクを探るため、虫体を洗浄后、头部?胸部?腹部に切り分けて、それぞれに存在する菌类の种类と优占度を比较しました。その结果、どの部位からも株枯病菌は検出されず、フザリウム?クロシウムが、特に头部で圧倒的な优占度を示しました。ユーワラセア属キクイムシは様々なフザリウム属菌と共生していますが、本研究の组み合わせは世界初です。これらから、アイノキクイムシは菌嚢で株枯病菌とは异なる共生菌を媒介していると考えられ、イチジクの枯死原因の真相を究明する新视点が得られました。
本研究成果は、2021年9月28日付スイス科学雑誌「Frontiers in Microbiology」にオンライン掲載されました。
本研究は、日本学术振兴会科学研究费助成事业基盘研究(叠)(17贬03831)、国际共同研究加速基金(国际共同研究强化(叠))(18碍碍0180)、基盘研究(叠)(19贬02994)、基盘研究(叠)(20贬03026)の支援のもとで行われたものです。&苍产蝉辫;
?昆虫と微生物の共生関係は、宿主植物を衰弱?枯死させる场合がある。树木に穿孔するキクイムシ类は糸状菌を媒介して、世界各地の森林で害虫化している。
?果树園に侵入することもあり、日本では、アイノキクイムシ(ユーワラセア属の一種)がイチジク株枯病菌の媒介者である。雌成虫は、その菌体を腹部上翅の表面に付着させ、随伴している。
?アイノキクイムシは、体内に菌类を贮蔵?运搬する特别な器官(菌嚢(のう))を备えているグループである。その菌嚢に関する具体的な情报はなかったが、最近、雌成虫の口の中にあることを発见した。
?穿孔后のイチジク枯死木から出てきた雌成虫を洗浄后、头部?胸部?腹部に切り分けて、それぞれに存在する菌类の种类と优占度を比较したところ、どの部位からも株枯病菌は検出されなかった。代わりに発见されたのは、フザリウム?クロシウムで、特に头部で圧倒的な优占度を示した。
?ユーワラセア属キクイムシは様々なフザリウム属菌と共生しているが、アイノキクイムシとフザリウム?クロシウムの组み合わせは世界初だった。
?アイノキクイムシは菌嚢で株枯病菌とは异なる共生菌を媒介していると考えられ、イチジクの枯死原因の真相を究明する新视点が得られた。
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注1)菌嚢(のう):
昆虫が菌类を保持?运搬する器官を示す用语。嚢(のう)とは、袋を意味する。一般的に、雌成虫の产卵に直接関係する部位に见られるが、キクイムシ类では様々な部位に存在し、复数部位に発达、さらには雄成虫も备えている种类がある。&苍产蝉辫;
雑誌名:Frontiers in Microbiology
論文タイトル:Novel symbiotic association between Euwallacea ambrosia beetle and Fusarium fungus on fig trees in Japan
著者:Zi-Ru Jiang (姜 自如 黑料网大学院生命农学研究科研究員)、Hayato Masuya(升屋 勇人 森林総合研究所きのこ?森林微生物研究領域室長)、Hisashi Kajimura(梶村 恒 黑料网大学院生命农学研究科准教授)
DOI: 10.3389/fmicb.2021.725210
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