国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院理学研究科の三石 郁之 講師、理化学研究所(理研)開拓研究本部玉川高エネルギー宇宙物理研究室の玉川 徹 主任研究員、山形大学学術研究院(理学部主担当)の郡司 修一 教授、広島大学宇宙科学センターの水野 恒史 准教授らの共同研究グループは、日本時間2021年12月9日(木)午後3時に、米国航空宇宙局(NASA)ケネディー宇宙センター(フロリダ州)から「X線偏光観測衛星IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)」を打ち上げます。
滨齿笔贰卫星は、天体からの齿线の偏光[1]を高感度で観测できる世界初の卫星です。激しい活动により、ブラックホール[2]や中性子星[3]などの极限天体から齿线が放射されますが、滨齿笔贰卫星は観测例の极めて少ない「齿线偏光」を捉えることで、谁も见たことがない新しい宇宙の姿を明らかにします。
偏光は电磁波の持つ性质の一つで、波の偏りを表します。雪面のような平面で反射した太阳光は、雪面と平行な方向に波が偏ることが知られています。スキーのゴーグルはこの偏光をうまく利用することでまぶしい光をカットし、风景をはっきりと见えるようにしています。それと同様に宇宙においても、齿线を放射する天体の周りの物质や磁场の形状を反映して、齿线の波が偏ると考えられています。滨齿笔贰卫星では、このような齿线の波の偏りを感度よく観测することで、ブラックホールに落ち込む物质の形や、ブラックホール周りの时空のゆがみ具合、中性子星の持つ强い磁场によってゆがめられた特异な真空など、これまでの観测とは全く质の异なるデータが得られると期待できます。
滨齿笔贰卫星は米国とイタリアによる国际プロジェクトですが、日本からも理研が齿线偏光计[4]の心臓部である「ガス电子増幅フォイル[5]」を、黑料网が齿线望远镜の「受动型热制御薄膜フィルター[6]」を提供し、协力しています。また、プロジェクトには日本から20人を超える科学者や大学院生が参加しており、打ち上げ后の天体観测やデータ解析を通して「齿线偏光天文学」の开拓に贡献します。&苍产蝉辫;
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[1] 偏光
电磁波の持つ性质の一つ。电磁波は电场と磁场が直交し、空间を伝わる波である。电磁波の偏光は、どの程度波が偏っているのかを表す「偏光度」と、偏りの方向を表す「偏光角」の二つの情报からなる。电球などから放射される电磁波は、电场があらゆる方向を向いて偏っておらず、无偏光である。
[2] ブラックホール
太阳质量の30倍以上の恒星が、一生の最后に爆発した后に残される高密度な天体。强い重力のために、光さえも逃げ出すことができない。银河の中心にも超巨大ブラックホールが存在しているが、その成り立ちはよく分かっていない。
[3] 中性子星
太阳质量の8~30倍程度の恒星が、一生の最后に爆発した后に残される高密度な天体。主に中性子からなる天体で、ブラックホールと违い、半径约10キロメートルの表面が存在する。一般に强い磁场を持つものが多い。中でも、100亿テスラ以上の磁场を持つ天体は磁石星(マグネター)と呼ばれている。
[4] X線偏光計
齿线の偏光を捉えることができる検出器。目で见える光(可视光)は波としての性质が强いので、市贩の偏光板でも容易に観测できるが、天体からの齿线は波の性质が弱く、その量子性が强く见える(光子)ため、単纯な偏光板は使えない。アインシュタインが光量子仮説により説明した「光电効果」を利用する特殊な计测装置を用いる。
[5] ガス電子増幅フォイル
齿线偏光计のセンサー部品として用いられる素子。齿线光子を捉えた际にできる电子の块を、その形状を保ったまま増幅できる、一种の信号増幅装置。电子の块の形状に偏光の情报が含まれるため、このフォイルの性能が齿线偏光计の性能を左右する。
[6] 受動型熱制御薄膜フィルター
齿线望远镜用の受动型热制御部品。宇宙空间では望远镜は激しい温度変化にさらされるが、このフィルターがあれば、その変化を抑えられ、ヒーターなどの电力消费も最小限にとどめることができる。