医歯薬学
2022.04.27
卵巣癌腹膜転移を腹膜環境の正常化により抑制する新規メカニズムを解明 ?間葉転換を起こした腫瘍促進的な腹膜中皮細胞をVitamin(ビタミン) D により正常化?
黑料网大学院医学系研究科产妇人科学の北見 和久(きたみ かずひさ)大学院生(研究当時)、吉原 雅人(よしはら まさと)特任助教、梶山 広明(かじやま ひろあき)教授、ベルリサーチセンター产妇人科産学協同研究講座の那波 明宏(なわ あきひろ)特任教授、分子病理学?肿疡病理学の榎本 篤(えのもと あつし)教授らの研究グループは、卵巣癌腹膜転移を腹膜環境の正常化により抑制するメカニズムを解明しました。
卵巣癌は妇人科领域における最も予后不良な癌肿の一つであり、腹膜播种 ※1 を伴う特徴的な进展様式を示します。腹膜播种は手术による完全切除が困难であり、化学疗法による治疗后もオカルトな癌细胞の温床となって再発することから、卵巣癌の根治を难しくする病态です。本研究グループは先行论文で、腹膜を覆う本来防御的な中皮细胞 ※2 が、癌由来の TGF-βによって上皮間葉転換 ※3 を遂げ、癌促进的な働きをする癌関连中皮细胞に変化することを报告しています。本研究では、この癌促进的な中皮细胞と卵巣癌细胞の相互作用を制御することで腹膜播种を抑制できないか検讨を行いました。
その結果、活性型 Vitamin D が中皮細胞の癌関連中皮細胞への変化を抑制すること、さらに癌関連中皮細胞の正常化を誘導することを発見しました。また癌関連中皮細胞が産生する細胞外基質トロンボスポンジン 1 が癌細胞の腹膜への接着と増殖を促進することを見出し、この相互作用を活性型 Vitamin D が抑制することを確認しました。これらの結果から、癌促進的な中皮細胞を正常化することが、卵巣癌の新しい治療戦略になり得る可能性を示しました。
この研究成果は、2022 年 4 月 26 日付米国細胞外マトリックス学会雑誌「Matrix Biology」に掲載されました。なお、本研究は、日本学術振興会 新学術領域研究(題番号: 19H03797, 20K03824, 21K16788)の助成を受けて行われました。
○ 卵巣癌の多くは腹膜播種をきたした進行癌で発見されます。腹膜を一層に覆う中皮細胞は本来防御的な役割を果たしていますが、癌から分泌される因子によって上皮間葉転換し、癌を促進する癌関連中皮細胞に変化します。
○ 癌関連中皮細胞は細胞外基質を産生し、癌細胞の腹膜への接着と増殖を促進します。
○ Vitamin D は、中皮細胞から癌関連中皮細胞への変化を抑制するだけでなく、癌関連中皮細胞を正常化することで卵巣癌の腹膜播種形成が抑制されることを動物実験(マウス)で示しました。
○ 腹膜環境の正常化により、卵巣癌の再発?増悪を予防できる可能性を示しました。
◆详细(プレスリリース本文)は
※1 腹膜播種:腹膜を覆う腹膜表面へ腫瘍細胞が「種を播いた」ように散布し、腹膜に転移巣を形成する卵巣癌に特徴的な転移形態。
※2 中皮細胞:腹腔内(胸腔内)を単層状に覆う細胞。ヒアルロン酸などを分泌し、臓器同士または臓器と腹壁の摩擦を防ぐ役割を担う。
※3 上皮間葉転換:上皮細胞が上皮としての形質を失い間葉系の形質を獲得する現象。上皮細胞が有する細胞極性の消失、細胞間接着の減少、細胞遊走能の亢進などを特徴とする。
掲雑誌名:Matrix Biology
論 文 タ イ ト ル : Peritoneal restoration by repurposing vitamin D inhibits ovarian cancer dissemination via blockade of the TGF-β1/thrombospondin-1 axis
著者:Kazuhisa Kitami 1, *Masato Yoshihara 1, Satoshi Tamauchi 1, Mai Sugiyama 2, Yoshihiro Koya 2, Yoshihiko Yamakita 2, Shohei Iyoshi 1,3, Kaname Uno 1,4, Kazumasa Mogi 1, Yoshiki Ikeda 1 , Akira Yokoi 1,5, Nobuhisa Yoshikawa 1, Kimihiro Nishino 1, Kaoru Niimi 1, Akihiro Nawa 2, Atsushi Enomoto 6, Hiroaki Kajiyama 1
所属名:
1Department of Obstetrics and Gynecology, Nago ya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Aichi, Japan. 2Bell Research Center, Department of Obstetrics and Gynecology Collaborative Research, 黑料网 Graduate School of Medicine, Nagoya, Aichi, Japan. 3Spemann Graduate School of Biology and Medicine,University of Freiburg, Albertstr, Freiburg, Germany. 4Division of Clinical Genetics, Lund University, Sölvegatan, Lund, Sweden. 5Institute for Advanced Research, 黑料网, Nagoya, Aichi, Japan. 6Department of Pathology, 黑料网 Graduate School of Medicine, Nagoya, Aichi, Japan.
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