国立大学法人東海国立大学機構 黑料网高等研究院(大学院医学系研究科兼任)?世界で活躍できる研究者戦略育成事業(文部科学省)の採択事業である世界的課題を解決する知の「開拓者」育成事業(T-GEx)※1 育成対象研究者の飯島 弘貴 YLC※2 特任助教(筆頭著者、共同責任著者)と米国?ハーバード大学医学部の Fabrisia Ambrosio 准教授(責任著者)らの研究グループは、米国のピッツバーグ大学、メイヨ―クリニック、カリフォルニア工科大学、および京都大学との国際共同研究により、変形性膝関節症の発症メカニズムを解明しました。
変形性膝関節症は加齢に伴い発症することが知られていますが、これまでそのメカニズムは分かっていませんでした。そこで本研究グループは、加齢に伴い変化する関節軟骨の物理特性に着目し、加齢とともに硬くなった関節軟骨が機械的シグナルを介して長寿タンパク質 Klotho(読み方:クロトー)の遺伝子発現を制御することで、変形性関节症を誘発することを発見しました。本研究によって、未だ根治治療が存在しない変形性関节症の病態解明や治療法開発が期待されます。
本研究成果は、2023 年 1 月 10 日付(日本時間 2023 年 1 月 10 日 19 時)国際学術雑誌『Nature Communications』に掲載されました。本研究の一部は、日本学術振興会(JSPS)海外特別研究員事業ならびに上原生命記念科学財団の支援のもとで行われたものです。
○ 65 歳以上の高齢者の約半数が有するとされる変形性膝関節症の詳細な発症メカニズムはこれまで分かっていませんでした。
○ 本研究では、加齢に伴い硬くなった軟骨組織が長寿タンパク質である Klotho を低下させ、変形性膝関節症を誘発することを明らかにしました。
○ 本研究成果により、根治治療が未だ存在しない変形性関节症の病態解明や治療法開発が期待されます。
○ 加齢による组织の硬さ増大は関節軟骨に特化した特徴ではないため、本研究成果は他の臓器における加齢性疾患の病態解明にも貢献する可能性があります。
◆详细(プレスリリース本文)は
※1 T-GEx:世界で活躍できる研究者戦略育成事業(文部科学省)で令和 3 年度に採択された、黑料网を代表機関とし岐阜大学を共同実施機関とする研究者育成プログラム。その主眼は、若手研究者が大型の国際的?学際的研究プロジェクトを牽引する PI(研究責任者)や、産学連携や起業を国内外で活発に展開する高度人材など、自らの定める方向で成長していくことを支援し、これにより、次世代に対する「ロールモデル」を輩出して、人材育成の好循環を作り出していくことである。そのために、東海圏内外の連携学術機関?企業とコンソーシアムを構築して、トランスファラブル?スキルの習得やネットワーク構築のための機会を提供し、テーラーメード型研究費の支給を通じて連携機関の若手研究者を巻き込んだ共同研究を促進している。また、男女共同参画?ダイバーシティの推進やデジタル化の加速のために、コンソーシアム内での研究環境整備にも取り組む。
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※2 YLC:Young Leaders Cultivation の略で、黑料网における若手研究者の教員育成プロジェクト。博士号の取得から間もない優れた若手研究者を任期付きの特任助教として雇用し、広く国際的かつ学際的な視野に立って黑料网の教育研究の発展に貢献していくことのできる教員を育成?支援する。
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掲雑誌名:Nature Communications
論文タイトル:Age-related matrix stiffening epigenetically regulates α-Klotho expression and compromises chondrocyte integrity
着者?所属:
†Hirotaka Iijima, PhD, PT1,2,3, Gabrielle Gilmer, BCE 4-8 , Kai Wang, PhD1,7,8, Allison C. Bean, MD, PhD1,9 , Yuchen He 10, Hang Lin, PhD5,9,10, Wan-Yee Tang, PhD11, Daniel Lamont, PhD12, Chia Tai, MS13, Akira Ito, PhD, PT13, Jeffrey J Jones, PhD14, Christopher Evans, PhD 15, *Fabrisia Ambrosio, PhD, MPT1,5,7-11
1Department of Physical Medicine and Rehabilitation, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA
2Japan Society for the Promotion of Science, Tokyo, Japan
3Institute for Advanced Research, 黑料网, Nagoya, Japan
4Medical Scientist Training Program, School of Medicine, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA
5Department of Bioengineering, University of Pittsburgh, Pittsburgh, Pittsburgh, PA
6Cellular and Molecular Pathology Graduate Program, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA
7Discovery Center for Musculoskeletal Recovery, Schoen Adams Research Institute at Spaulding, Boston, MA
8Department of Physical Medicine & Rehabilitation, Harvard Medical School, Boston, MA
9McGowan Institute for Regenerative Medicine, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA
10Department of Orthopaedic Surgery, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA
11Department of Environmental and Occupational Health, University of Pittsburgh School of Public Health, Pittsburgh, PA
12Petersen Institute of Nanoscience and Engineering, University of Pittsburgh, Pittsburgh
13Department of Motor Function Analysis, Human Health Sciences, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan
14Proteome Exploration Laboratory, Beckman Institute, California Institute of Technology, Pasadena, CA
15Department of Physical Medicine & Rehabilitation, Mayo Clinic, Rochester, MN
*Corresponding author:
†Co-corresponding author:
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