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化学

2023.07.18

ハイエントロピー合金メソ多孔体の合成に初成功 ~複数の金属原子を組み合わせて高性能を実現~

国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院工学研究科の山内悠辅卓越教授(JST-ERATO山内物质空间テクトニクスプロジェクト研究総括、及びクイーズランド大学教授兼任)、カン ユンチンERATO研究員(物質?材料研究機構ERATO拠点内)らは、早稲田大学の江口美陽准教授、奈良洋希研究院准教授、朝日透教授との共同研究で、ブロック共重合体注1ミセル注2を鋳型として使用する化学还元法注3による、5種金属からなる多孔体骨格の合成法を新たに開発しました。その結果、ハイエントロピー合金(HEA; High Entropy Alloy)注4からなるメソ多孔体注5の合成に世界で初めて成功しました。
今回得られたHEAメソ多孔体(金属種:PtPdRhRuCu)は、広範囲なpH領域にわたって水素発生反応 (HER) に対して優れた活性と安定性を示す電極触媒であることが分かりました。HERに対する触媒活性は、既存の電極触媒を大きく上回り、豊富に存在するメソ細孔注6は电极中における効率的な反応物や生成物の移动を促进しています。
また、合成过程での金属析出挙动、そしてそれに伴うミセルの自己组织化を把握することで、细孔构造の形成メカニズムと各金属の役割について理解することを可能とします。これにより、本知见は他の贬贰础のメソ多孔体へと展开する上で极めて重要になってきます。
本成果は、电极触媒の进歩に贡献し、エネルギー変换および贮蔵用途向けの効率的で安定した触媒の开発への道を切り开くと期待されます。
本研究成果は、2023年7月13日付Nature Communicationsに掲載されました。

 

【ポイント】

?5种类(笔迟、笔诲、搁丑、搁耻、颁耻)の金属イオンを高分子ミセル表面に安定化させ、化学还元法によるハイエントロピー合金メソ多孔体の合成に初めて成功した。
?広范囲辫贬领域にわたって水素発生反応(贬贰搁)に対して优れた活性と安定性を示す电极触媒であることが分かった。従来の贬贰搁触媒电极の性能を大きく上回っている。

 

◆详细(プレスリリース本文)はこちら

 

【用语説明】

注1)ブロック共重合体:
2种类以上の异なる化学构造をもつ繰返し単位セグメントを、互いに连结させた重合体がブロック共重合体である。ブロック共重合体は様々なナノ构造を発现する自己组织化材料としても知られている。

 

注2)ミセル:
ミセルとは、両亲媒性分子が集まってできたコロイドのことである。両亲媒性分子は、水になじむ「亲水部」と、水になじまない「疎水部」を合わせて持ち、水溶液中で形成するミセルでは、亲水部が外侧に、疎水部が内侧にある构造をしている。

 

注3)化学还元法:
溶液中などで、金属塩などを化学的に还元して、粉末を析出させる方法。还元方法としては、还元剤の添加による方法が一般的である。

 

注4)ハイエントロピー合金(HEA; High Entropy Alloy):
复数种类の金属(多くの场合5种类以上)が含まれた合金の総称。种々の合金元素が结晶格子にランダムに配置されることで、系のエントロピーが高くなるという意味で、高エントロピー合金と呼ばれている。

 

注5)メソ多孔体
メソ細孔を有する多孔体をメソ多孔体と呼ぶ。メソポーラス物质とも呼ばれている。

 

注6)メソ细孔:
IUPACでは、直径2 nm以下の細孔をマイクロ細孔、直径2―50 nmの細孔をメソ細孔、直径50 nm以上の細孔をマクロ細孔と定義している。メソ細孔を有する多孔体をメソポーラス物质、またはメソ多孔体と呼ぶ。

 

【论文情报】

雑誌名: Nature Communications
論文タイトル:Mesoporous multimetallic nanospheres with exposed highly entropic alloy sites
著者:Yunqing Kang, Ovidiu Cretu, Jun Kikkawa, Koji Kimoto, Hiroki Nara, Asep Sugih Nugraha, Hiroki Kawamoto, Miharu Eguchi, Ting Liao, Ziqi Sun, Toru Asahi & Yusuke Yamauchi
DOI: 10.1038/s41467-023-39157-2
URL:

 

【研究代表者】


 

【関连情报】

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