国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院工学研究科の大戸 達彦 准教授らの研究グループは、韓国?高麗大学との共同研究で、分子素子としては最高の熱起電力を持つ热电変换デバイスを新たに開発しました。
廃熱を電気エネルギーに変換する热电変换技術は、エネルギーの有効利用のために期待されています。与えられた温度差に対して、どれだけの電圧が発生するかの比率は熱起電力と呼ばれ、その指標の向上が求められています。本研究ではルテニウム(Ru)錯体の自己組織化膜を用いることで、これまでの分子熱電素子では報告されたことのなかった、1 mV/Kを超える熱起電力を達成しました。理論計算から、分子軌道準位が電極のフェルミ準位近くに存在し、10 nmに及ぶ長さまでトンネル伝導を維持していることを突き止め、高い熱起電力が達成されることを明らかにしました。将来的にトンネル伝導とホッピング伝導の寄与を詳細に明らかにすべく、光量子アルゴリズムを用いて電流―電圧曲線の2階微分に現れる分子振動由来の特徴を計算しました。
地球上に豊富に存在する有機物が、ナノメートル程度のサイズで大きな熱起電力を発揮することが明らかになったことで、分子設計を工夫し、ウェアラブルな热电変换機器などの開発につながることが期待されます。本研究成果は、2024年2月7日付で学術誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載されました。
?分子からなる熱電素子において、熱起電力の世界記録(1 mV/K超え)を達成
?理論計算により、10 nmの長さでもトンネル伝導が保たれることを解明
?光量子コンピュータで动作するアルゴリズムを用い、电流―电圧曲线の2阶微分に现れると期待される分子振动由来の特徴を计算
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雑誌名:Journal of American Chemical Society
論文タイトル:Seebeck Effect in Molecular Wires Facilitating Long-Range Transport
(长距离伝导分子ワイヤーのゼーベック効果)
著者:Jiung Jang, Jeong Woo Jo, Tatsuhiko Ohto(黑料网), and Hyo Jae Yoon
DOI: 10.1021/jacs.3c14012
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