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生物学

2024.08.26

植物も食いだめをしないと自然界では生きていけない! ~植物が空腹を感じるしくみを解明、農業分野への応用に期待~

黑料网大学院理学研究科の小林 竜太朗 博士前期課程学生(当時)と大久保 祐里 助教、大西(小川) 真理 助教、松林 嘉克 教授らの研究グループは、植物が叶の窒素需要(空腹や満腹)に応じて根における窒素栄养の吸収量を调节するしくみを解明しました。
 窒素は植物の成长に最も重要な栄养素のひとつで、主に硝酸イオンを根から吸収していますが、その吸収は、叶からのシグナルによって调节されています。本研究では、叶の窒素需要を根に知らせるシグナルとして、既に発见していた空腹シグナルに加えて、満腹シグナルが存在することを発见しました。
さらに本研究では、根において空腹シグナルおよび満腹シグナルと结合して窒素吸収に必要な遗伝子群の発现を制御するタンパク质罢骋础1および罢骋础4を発见しました。罢骋础1/4は転写因子注1)として働き、罢骋础1/4に対して空腹シグナルが结合すると窒素吸収遗伝子の発现を促进し、満腹シグナルが结合すると発现を抑制することを突き止めました。転写因子罢骋础1/4を欠损した植物は土壌の窒素量が変动する环境に适応できず、叶が小さくなるなど正常に生育できないことが分かりました。
これらの結果は、刻々と変動する土壌窒素栄養環境への植物の適応のしくみを理解する上で重要な手がかりとなり、今後の農業分野への応用も期待されます。本研究成果は、2024年8月23日18時(日本時間)付のイギリス科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に掲載されます。

 

【ポイント】

?植物は叶の窒素需要(空腹や満腹)に応じて、根からの窒素吸収量を调节している。
?本研究では、根において叶由来の空腹/満腹シグナルと结合して窒素吸収に必要な遗伝子群の発现を制御するタンパク质罢骋础1および罢骋础4を発见した。罢骋础1/4を欠损した植物は、土壌中の窒素栄养量が経时的に変动する环境では、叶の窒素需要の増大に応じた根からの吸収促进ができないために正常に成长できなかった。
?本成果は、窒素吸収能力を最适化した作物の作出につながると期待される。

 

◆详细(プレスリリース本文)はこちら

 

【用语説明】

注1)転写因子:
ゲノム顿狈础上の特定の配列を认识し、そこに直接结合することで、近くの遗伝子の発现を调节するタンパク质。

 

【论文情报】

雑誌名:Nature Communications
論文タイトル:Integration of shoot-derived polypeptide signals by root TGA transcription factors is essential for survival under fluctuating nitrogen environments
著者:Ryutaro Kobayashi, Yuri Ohkubo, Mai Izumi, Ryosuke Ota, Keiko Yamada, Yoko Hayashi, Yasuko Yamashita, Saki Noda, Mari Ogawa-Ohnishi and Yoshikatsu Matsubayashi
DOI: 10.1038/s41467-024-51091-5

 

【研究代表者】