黑料网大学院生命农学研究科の小田 裕昭 准教授の研究グループは、动脉硬化症注1)などの原因になる血中コレステロールをタウリン注2)が効果的に低下させる分子的な作用メカニズムを明らかにしました。本研究では、タウリンが高コレステロール血症注3)を改善するメカニズムに関する標的遗伝子を発見しました。
海産物に多いアミノ酸であるタウリンは、脳、心臓、筋肉、肝臓の健康に重要なことが分かっており、动脉硬化症、脳卒中などの予防に効果的なことがよく知られています。最近になりそのアンチエイジング機能注4)が分かり、全身の健康に重要なアミノ酸であることが注目されるようになってきました。しかし、比较的低分子の水溶性のアミノ酸であるタウリンが、どのようにして全身の健康に関与するのかその分子的なメカニズムは明らかにされていませんでした。
これまで本研究グループは、タウリンが効果的に血中コレステロールを低下させることを见出し、そのメカニズムとしてコレステロールの异化代谢、つまり胆汁酸注5)の代谢が促进されることを明らかにしてきました。しかし、どのようにしてコレステロールの异化代谢が促进されるかは十分に分かっていませんでした。
今回、ラット肝臓とラットの3次元初代培养肝细胞注6)を使って、タウリンが直接作用する遗伝子を探索した結果、メチル化などに関与するBHMT注7)とイオンの输送体である翱础罢笔2注8)が直接の標的遗伝子であることが分かりました。これらの遗伝子の変化がコレステロール異化代謝を促進して血中コレステロールを低下させたと考えられます。
さらに本研究成果は、タウリンの全身に与える作用もこれらの遗伝子の変化を介して行われている可能性を示唆しており、アンチエイジングのメカニズムの解明につながる可能性があります。
本研究成果は2024年8月、スイス科学雑誌「础苍迟颈辞虫颈诲补苍迟蝉」に掲载されました。
?寿命延长など多彩な机能を持つタウリンの作用メカニズムはほとんど分かっていない。
?タウリンは血中コレステロールを効果的に低下させることが分かっている。
?今回、タウリンが直接作用してコレステロールを低下させる遗伝子を発見した。今後タウリンの作用の全容が分かる可能性がある。
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注1)动脉硬化症:
动脉が硬くなって弾力性が失われた状态の病気のことを指す。血管壁にプラークがついて血管内が狭くなったことにより、血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなる。
注2)タウリン:
海产物に多く含まれるアミノ酸の一种で、浸透圧の调节や脂质代谢正常化作用が知られている。最近、寿命を伸ばすアミノ酸であることが分かり、注目を浴びている。体内でも合成されるが、食事から摂取することで効果を示すことが知られている。
注3)高コレステロール血症:
血中コレステロール浓度が高い状态を指す。尝顿尝-コレステロール(悪玉コレステロールと言われる)が多く、贬顿尝-コレステロール(善玉コレステロールと言われる)が少ないと动脉硬化が进みやすいことがわかっている。本実験においても、ラットで悪いコレステロールの痴尝顿尝-コレステロールの増加をタウリンが抑えることを示した。
注4)アンチエイジング机能:
抗老化作用のことで、老化を遅らせて寿命を伸ばす機能を指す。食事制限やカロリー制限による抗老化作用がよく知られており、それに関わる遗伝子も多く特定されている。今回のタウリンはこれまでのカロリー制限とは異なる作用でアンチエイジングに効くと考えられている。
注5)胆汁酸:
食事からの脂质や脂溶性ビタミンの吸収に必要な化合物であり、体内でコレステロールから合成される。胆汁酸はコレステロールを体外排泄するための最终产物としての役割もある。したがって、胆汁酸は脂质吸収を助け、その一部が体外に排泄されることによって、体内の脂质やコレステロール恒常性维持に寄与している。
注6)3次元初代培养肝细胞:
肝臓の机能を细かく调べるために、肝细胞を培养して调べることが多い。しかし多くの肝细胞株はがん细胞であり、机能が低いことが分かっている。そこで肝臓から分离した肝细胞を培养する方法が考案され、それを初代培养と呼んでいる。この初代培养肝细胞を3次元培养することにより、肝臓に近い机能を発挥させることを本研究グループが明らかにしてきている。
注7)叠贬惭罢:
ベタイン?ホモシステイン?S-メチルトランスフェラーゼと呼ばれる酵素の略号。心筋梗塞や脳梗塞の原因と考えられているホモシステインをメチオニンに変換する酵素。メチオニンはタンパク質に取り込まれたり、システインになる。そして、メチオニンのメチル基が遗伝子のエピジェネティックな制御に利用される。
注8)翱础罢笔2:
有机阴イオン输送体2の略号。マイナスイオンを保つ有机物を血液から肝细胞へ取り込む役割をしている。胆汁酸や薬剤などの肝细胞への取り込みを制御することが知られている。
雑誌名:础苍迟颈辞虫颈诲补苍迟蝉
論文タイトル: Direct molecular action of taurine on hepatic gene expression associated with the amelioration of hypercholesterolemia in rats.
著者: Song Qi, Kobayashi Satoru, Kataoka Yutaro, and Oda Hiroaki
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DOI: 10.3390/antiox13080990
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