国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院环境学研究科の廣瀬 允人 大学院生、黑料网博物館の内藤 裕一 研究員、門脇 誠二 講師は、東京大学の西秋 良宏 教授が主導する研究プロジェクトの一環として、総合研究大学院大学の新井 才二 研究員およびアゼルバイジャン共和国科学アカデミーのFarhad Guliye(ファルハド?キリエフ)博士とも協働し、西アジアにおける初期家畜の飼育方法を、家畜の歯の安定同位体分析によって解析することに成功しました。
この研究では、世界最古の农业起源地である「肥沃な叁日月地帯」注1の北方に位置するコーカサス地方注2において、新石器时代初期(7500~8000年前)の遗跡から発掘された家畜の歯が分析されました。歯のエナメル质には、动物が摂取した水分や食物の安定同位体比の季节変化が记録されています。そこで、研究チームはエナメル质の成长方向に沿って炭素と酸素の同位体比を连続的に测定することで、动物が摂取した饮み水や食物の季节変化を解析しました。その结果、复数の季节変动パターンがみられ、多様な牧畜の手法があったことが分かりました。例えば、夏に高原の牧草地へ移动した「移牧」の可能性がある个体や、饲い主が用意した饵で一定期间饲育された可能性がある个体がみられました。この结果は、完新世注3になって人類社会に农业が普及したプロセスの最初期の様相を具体的に示し、农业普及プロセスの解明に貢献すると期待されます。
この研究成果は、2021年3月11日にElsevier社の科学誌Journal of Archaeological Science: Reportsにおいて、オンラインで先行発表されました。この研究は、文部科学省科学研究費補助金や高梨学術奨励基金などの助成を受けて行われました。
?新石器时代の西アジアにおいて始まったとされる家畜饲育の初期段阶において、季节的な移牧や冬期の饵やりといった饲育方法が行われていたことを示す希少な証拠を提示した。
?西アジア北部のコーカサス地方における最古の农村遗跡を発掘调査し、そこから得られた家畜の歯の安定同位体分析を行い、家畜の饮み水や食物の季节的変化を示した。
?この結果は、肥沃な叁日月地帯において、約1万年前に始まった家畜の飼育が世界中に普及したプロセスの最初期の様相を示す貴重な事例であり、农业普及プロセスの解明という人類史上の大きな研究テーマに貢献すると期待される。
&苍产蝉辫;沟の连続は、エナメル质を削り出したサンプリング痕。
&苍产蝉辫;◆详细(プレスリリース本文)はこちら
注1 肥沃な叁日月地帯
西アジアにおいて农业や文明が発達した中心域。农业の先進地帯という意味では、地中海東岸域からチグリス?ユーフラテス河の中上流域およびタウロス?ザグロス山脈が相当する。
注2 コーカサス地方
西アジアの北端に位置し、黒海とカスピ海のあいだのコーカサス山脉とその周辺地域を指す。今回の研究は特に、アゼルバイジャン共和国とジョージア(旧グルジア)、アルメニア共和国が位置する南コーカサス地方を指す。
注3 完新世
地質時代の年代区分の一つで、約 11,700年前から現在までの期間。
掲載雑誌:Journal of Archaeological Science: Reports (Elsevier)
論文名:Investigating early husbandry strategies in the southern Caucasus: intra-tooth sequential carbon and oxygen isotope analysis of Neolithic goats, sheep, and cattle from Göytepe and Hac? Elamxanl? Tepe
著者:Masato Hirose, Yuichi I. Naito, Seiji Kadowaki, Saiji Arai, Farhad Guliyev, Yoshihiro Nishiaki
廣瀬允人(黑料网大学院环境学研究科)?内藤裕一(黑料网博物館)?門脇誠二(黑料网博物館?大学院环境学研究科)?新井才二(総合研究大学院大学)?Farhad Guliyev(アゼルバイジャン共和国科学アカデミー)?西秋良宏(東京大学総合研究博物館)
公开日:2021年3月11日
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