国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院创薬科学研究科の社本 乙華 博士前期課程学生、布施 新一郎 教授らの研究グループは、医薬品候補として重要な特殊环状ペプチドの低コストで生産性が極めて高く、廃棄物量が少ない、しかも精製が容易な合成法の開発に成功しました。特殊环状ペプチドの代表といえる環状N-メチル化ペプチド注3)は医薬品として好ましい种々の特性をもつため、创薬标的として脚光を浴びています。しかしながら、特に6つ以下のアミノ酸からなるN-メチル化ペプチドの环化はとても进行しにくく、加えて副反応も进行しやすいことから、従来法では高価な反応剤を多量に用いて、长时间かけて反応し、しかも烦雑な精製操作を要するといった问题を抱えていました。
本研究では、微小な流路を反応场とするマイクロフロー合成法を駆使し、入手容易で安価な反応剤を组み合わせて用いることで、従来の手法と比べて遥かに低コスト、高い生产性で、廃弃物量を削减しつつ目的物を得ることに成功しました。開発した手法は、様々な特殊环状ペプチドの合成に利用可能であるため、医薬品候補化合物の創出、および医薬品生産の効率化が期待されます。
本研究成果は、2023年5月10日付ドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載されました。
?医薬品候補として重要な特殊环状ペプチド注1)の低コストで生产性が极めて高く、廃弃物量が少ない、かつ精製が容易な合成法を开発。
?不安定な中间体に由来する副反応をマイクロフロー合成法注2)により抑制。
?副反応が进行しやすく、なおかつ环化が进行しづらい、4つもしくは5つのアミノ酸からなるN-メチル化ペプチドの环化に成功。
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注1)特殊环状ペプチド:
タンパク质を构成する20种类のアミノ酸以外のアミノ酸を含む环状构造をもつペプチドのこと。酵素によるペプチドの切断が起こりにくく、标的の生体分子と、より强く选択的に相互作用し、细胞膜透过や経口投与を可能にする场合もあることから医薬品候补化合物として脚光を浴びている。
注2)マイクロフロー合成法:
微小な流路(通常内径1 mm以内)に溶液を流通させながら合成する手法。フラスコを用いる合成法と異なり、数ミリ秒で溶液を混合することが可能なため、短い反応時間を精密に制御できる。
注3)环状N-メチル化ペプチド:
环状构造をもち、また、ペプチド锁を构成するアミド结合の窒素原子上にメチル基(-颁贬3)をもつペプチドのこと。注1で记述した通り、医薬品として好ましい特性をもつことが多いため创薬における重要な标的となっている。
雑誌名:Angewandte Chemie International Edition
論文タイトル:Peptide Cyclization by the Use of Acylammonium Species
著者:Otoka Shamoto, Keiji Komuro, Naoto Sugisawa, Ting-Ho Chen, Hiroyuki Nakamura, and Shinichiro Fuse*
DOI: 10.1002/anie.202300647
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