国立大学法人東海国立大学機構 黑料网高等研究院?大学院理学研究科の別所-上原 学 特任助教は、モントレー湾水族館研究所(アメリカ)およびルーヴェン?カトリック大学(ベルギー王国)との共同研究で、深海に生息するナマコ类注3)の多くが発光能力を持つこと、そして高い多様性をもち豊富に存在することを新たに発见しました。
研究チームは、高感度カメラを搭载した深海探査机を用いることにより、新たに発光するナマコを13种発见しました。さらに、进化学的解析を行い、発光するナマコ类が200种以上いる可能性を示唆しました。
ナマコ类は、他の比较的小型の深海生物と密接な関係にあることが、これまでの研究で示唆されています。今回の研究において、多くのナマコが光る可能性が示唆されたことを加味すると、その関係性に生物発光が関与する可能性が考えられます。さらに本研究成果は、地球环境および生态系の保全にとっても重要な知见になります。深海底における生物発光の重要性や役割を理解し、生物多様性の保全と持続可能な开発注4)を両立できる方策を见出すことが、厂顿骋蝉(持続可能な开発目标)の达成に必要です。
本研究成果は、2023年6月中旬出版予定の Academic Press - Elsevier 出版学術専門書籍「The World of Sea Cucumber」に掲載されます。
? 未解明だった深海のナマコの発光能力について、高感度カメラを搭載した深海探査機注1)を使用することで、深海で実际にナマコが光る様子を撮影することに成功した。
? 新たに13種の深海棲発光ナマコを発見し、これまで知られていなかった多様性が明らかになった。
? 発光能力は、ナマコの仲間で6回も独立に進化しており、とくに板足類のナマコの共通祖先はおよそ2億年も昔から深海で光っていたことが明らかになった。さらに、200種以上いる板足類は全て発光する可能性が示唆された。
? ナマコ以外も含めた全ての生物では、合計で発光能力が100回以上も独立に進化したことになり、生物全体の発光能力の進化?多様性についての知見を更新した。
? 深海の生態系を理解する上で、生物発光注2)による生物间コミュニケーションの研究の重要性が明らかになった。
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注1)深海探査机:
深海を调査するために使用される机械。通常は高感度カメラや様々なセンサー、ロボットアームなどを备えている。本研究では、无人の远隔探査机を使用している。
注2)生物発光(発光生物):
生物が自ら光を放つ现象。生物発光は、捕食者への警告や饵の诱引、环境への适応などに用いられることが知られている。生物発光能力をもつ生物を発光生物と呼ぶ。目を持たないナマコ自身は、発光を知覚していないのかもしれないが、光ることで他の生物种とコミュニケーションをとっているのかもしれない。その役割については分かっていない。
注3)ナマコ类:
ナマコ类は、无脊椎动物のうちウニやヒトデと同じ棘皮(きょくひ)动物门に属するグループ。
世界で1700种近くが知られている。ナマコは海底の底生生物で、泥などに含まれる有机物を利用することが知られている。食用に用いられるマナマコのほかに、中国などでは汉方として利用されている。しかし、これらの浅い海に生息するナマコ类には発光种はいない。深海栖のナマコでは、ナマコなのに泳ぐユメナマコが有名だが、これも発光する。
注4)持続可能な开発:
环境や生态系に悪影响を及ぼさないように、资源や技术を効率的かつ持続可能な方法で利用すること。海底资源掘削は、海底に埋まった石油?ガス、金属鉱物などの资源を探査?回収する技术。エネルギー资源の需要が高まる中、海底资源掘削は新たな资源供给の可能性を提供している。しかし、掘削作业は环境への悪影响が悬念されており、生态系への影响や汚染、海底生物の生息环境の変化などが问题となっている。持続可能な开発を目指すためには、海底资源掘削の技术改善や环境保全策の导入が必要。
書籍: The World of Sea Cucumbers
論文タイトル:Glowing sea cucumbers: Bioluminescence in the Holothuroidea
着者: ○Manabu Bessho-Uehara, Jèrôme Mallefet, Steven H.D. Haddock (下線は本学関係教員)
DOI:
ISBN: 9780323953771