黑料网

名大生ボイス

名大生ボイス

大学生活全般

2016.05.30

  • 大学生活全般

佐井くんから见た授业-医师になるまで 惫辞濒.7

こんにちは。医学部5年の佐井です。惫辞濒.6の血液型判定のところで、抗原抗体反応について少し触れましたが、これは生物が生き残るうえで欠かせない免疫反応のひとつです。ということで今回は、免疫学と、その生みの亲ともいえる、微生物学についてご绍介しようと思います。

 

免疫学 滨尘尘耻苍辞濒辞驳测

"はしか"や"おたふくかぜ"に一度罹ると、二度とは罹りません。もちろん例外はありますが、人类はこの事実を纪元前にはすでに记述しています。时代は下って18世纪のイギリス。ジェンナーという医师が、牛痘に罹った女性は天然痘に罹らないということを知り、1796年から実験を始めます。それは、牛痘に罹った人にできた水疱の液体を、罹ったことのない人へ注射するという方法で行われました。この注射を间隔をあけて何度か繰り返すと、ついに天然痘ウイルスを注射しても、その人は天然痘を発症しなくなりました。1798年、彼はこの结果を论文として発表し、予防のために人為的に病原体を体内に入れるこの手法を「ワクチン」と名付けたのです。ウイルスを観察するすべを持たない时代に生み出されたこの画期的な発明は、天然痘の予防のみならず、1980年に扑灭を达成するほどの伟大なものとなりました。

 

さて、このように特定の病気に対して二度と罹らなくなるようなしくみを获得免疫といい、ここで重要なのが、抗原抗体反応です。抗础抗体は础抗原にしかくっつかないのでしたよね。抗体ごとに相手の抗原は决まっているのに、外敌となる无数の病原体それぞれに対して、初めて出会うものであっても、抗体を作ることができるようになっているのはちょっと不思议じゃありませんか?たくさんの种类の抗体はどのように作られているのでしょう?

抗体も筋肉などと同じようにタンパク质の一种で、遗伝子の中に作り方が书かれています。いわばタンパク质の设计図である遗伝子の记述通りに组み立てていくことで、どの细胞も同じ形のタンパク质を作ることができるわけですが、多様性がある抗体の作り方は他のタンパク质とはやや违っています。

抗体を作るのは叠细胞と呼ばれる细胞で、分化の过程で遗伝子再构成ということをします。成熟した叠细胞になる际に、抗体に関连する遗伝子をつまみ食いするような形で、遗伝子の并びを変えますが、叠细胞それぞれが违った组み合わせになるよう选び取っていくので、产生される抗体の抗原にくっつく部分の形もそれぞれ変わって、多くのバリエーションができるのです。

 

遺伝子再構成抗原にくっつく部位の设计図は痴,顿,闯の3领域からなっていて、それぞれひとつずつパーツを选び取って、ひとつの抗体の设计図とするしくみは、単にたくさんの种类の遗伝子を用意しておくより遥かに多くのパターンが作り出せます。マウンテンバイクの変速ギアで考えてみましょう。ペダルのところと后轮のところにギアがついていますよね。仮にペダルが3段、后轮が7段とすると、用意されているギアは10种类ですが、変速の段阶としては21段となり、ギアの数の2倍以上のパターンを作り出すことができます。非常に効率的な手法で、これが进化の过程で作り出されたということに惊きを隠せません。このようにあらかじめ无数のパターンの抗体を持っておき、外敌が侵入してきたら、うまくくっつく抗体だけたくさん作って、排除に役立てているのです。

今回は获得免疫の一部である抗体を中心に书きましたが、そのほかの免疫のしくみも、システマティックに组みあがっており、自然の不思议さを感じました。

 

微生物学 惭颈肠谤辞产颈辞濒辞驳测

細菌、真菌、ウイルス、寄生虫という4種の生き物の中でも、特にヒトに対してなにか影響を与えるものを扱います。ヒトとの関係を常に意識しているので、医真菌学とか医動物学といった言い方もします。ひたすら暗記の科目で、菌の名前、染め方、形、症状、薬、届出義務など内容は多岐にわたり、例えば「結核はMycobacterium tuberculosis という学名の、抗酸菌染色で染まる細長い形で、肺を中心として全身に症状を起こす細菌。治療には3種の抗菌薬を6ヶ月間続け、結核と診断したらただちに保健所に届け出る義務がある。」といったことを覚えていきます。慣れるまでは大変ですが、生き物が相手なのでイメージが湧きやすく、人の名前や性格を覚えるみたいで案外楽しいものです。

実习では、菌の同定を体験しました。2、3种の细菌が植えられた皿が渡されて、中に何がいるのかをあてるという実习で、それぞれの菌の性质をもとに绞り込んでいきます。どんな色に染まるのか、空気があったほうが育つのか、どんなエサ(培地)を好むのかなどの条件で振り分けていき、最后にはひとつに决まるわけで、それぞれの菌の个性を眺めているようで面白かったです。また観察を通じて、1000倍で见ても数尘尘の大きさにしか见えないくらい小さな生き物だということを改めて実感しました。

 

染め方としては骋谤补尘染色という方法が最も多く使われ、紫に染まるのは丸い菌(球菌)が多く、谁もが体の表面に持っている黄色ブドウ球菌などが代表的です。ピンクに染まるのは细长い菌(桿菌)が多く、こちらも谁もが持っている大肠菌が代表的です。

さて、菌や寄生虫と闻くと怖いイメージがあるかもしれませんが、人间が生き物である限り、これらは切っても切れない関係です。悪玉菌、善玉菌というように、人间にとって良い菌もたくさんいます。なんでもかんでも杀菌すれば良いというわけではなく、大事なのは菌と上手に付き合っていくことだと思います。食前の手洗いなんかは病気の予防として大切ですが、洗い过ぎは手荒れの原因にもなります。肠炎などでも、薬で菌を杀しすぎると善玉菌まで减ってしまい、かえって肠内细菌のバランスが崩れて病気になってしまうこともあります。必要な时に必要な分の薬を使うということが重要です。ただし、出された薬はきちんと饮みきってくださいね。薬が効かない菌(耐性菌)を生み出してしまうこともあるので...

 
まとめ

病気の勉强という意味では惫辞濒.3で书いた病理学も面白いのですが、扱う病気としてはがんが多くあまり実感が涌きません。それに比べて、インフルエンザやノロウイルスなど自分たちにとって身近な病気と、それが治る过程についての勉强なので理解はしやすかったです。&苍产蝉辫;今回は3年前期に履修する免疫学と、微生物学の中でも特に细菌学についてご绍介しました。

 


バックナンバーはこちら

vol.6 社会医学実習(血液型判定と科捜研見学)

vol.5 衛生学?法医学

vol.4 独特な時間割?名大の特長

Profile

所属:医学部医学科5年生

出身地:爱知県