こんにちは。医学部5年の佐井です。今回ご绍介するのはみなさんが高校で习う生物をさらに深く掘り下げた分野の话です。
発生学 Embryology
ヒトも他の动物と同じように、1つの「たまご」が分裂を繰り返してたくさんの细胞になって、それぞれの细胞が分化して违った役割を持つようになって、ヒトという个体ができあがっていきます。母亲の胎内でめまぐるしい速さでおこる、この细胞分裂と分化は、遗伝情报に従って秩序正しく起こります。これをうまく使いこなして作りたい细胞を作ろうとするのが、颈笔厂细胞をはじめとした再生医学の研究です。
制御をする遗伝子にもいろいろあって、これまで数多くの研究者によって见つけられてきたのですが、発生学者は游び心にあふれているのか、変わった名前を遗伝子につけることもあるようです。例えば、「肝臓は右に、胃は左に」といったように左右を决める遗伝子もその1つです。これは北斗の拳のキャラクターに因んで「サウザー遗伝子」と名づけられています。私は読んだことがないので详细は知りませんが、主人公ケンシロウの対戦相手にサウザーというのがいて、彼の内臓が左右ひっくりかえっているために、いつも通りの拳法が効かず难渋するという话なんだそうです。サウザー遗伝子が正常に働かないと左右が逆になってしまうというわけですね。ほかにもソニックヘッジホッグ遗伝子とかポケモン遗伝子とかいったゲーム由来の命名がされたものもあります。もっともポケモン遗伝子の方は抗议により别の名前に変わってしまいましたが...
肿疡学 Oncology
讲义としては全く别の时间に行われますが、発生学のシラバスに「『発生』はじつは『ガン』の『知恵袋』であるので、その営みを知ることが『ガン』の『悪知恵』を暴きその営みを封じることにつながる。」とあるようにこの2つは似ています。というのも、细胞が増えるという意味ではどちらも同じだからです。
さて、规则正しく细胞が分裂しているうちは问题ありませんが、无秩序に细胞が増え始めると困ったことになります。成人でも、皮肤や消化管では细胞分裂が盛んですが、いわば车のアクセルとブレーキのように、分裂を促进する遗伝子と抑制する遗伝子が、厳密に分裂を制御しています。この働きが遗伝子変异により失われて、无制限に増え続けてしまう细胞が、がん细胞です。细胞分裂が过剰に进むなら分裂そのものを止めてしまえ、というのが従来のがん治疗の考え方で、放射线をあてたり、抗がん剤を使って细胞を杀してきました。しかし、これらの治疗法は、がん细胞の方が死にやすいとはいえ、正常な细胞まで杀してしまうので副作用もあり苦しいものです。
そこで开発されたのが分子标的薬と呼ばれる薬剤です。遗伝子にアクセルとブレーキの2种类あると书きましたが、正常な细胞はアクセルの中でもさまざまある遗伝子を使い分け、ブレーキの方も同様にしています。ところが不思议なことに、がん细胞が使うアクセルとブレーキは、决まっていることが多いのです。分子标的薬はその遗伝子の働きを封じ込めることで、がん细胞は死に、正常な细胞は杀さないという効き方をし、かつては考えられなかったくらいよく効く薬もあります。これに加えて、放射线の方もコンピューターシミュレーションの発达により、よりピンポイントで病巣にあてることができるようになり、正常な细胞は死なせずに済むようになってきています。がん治疗の进歩は目覚ましいですね。
生化学 分子生物学 遗伝学
まとめてしまいましたが、これらが高校までで习う生物学に一番近いと思います。食物を消化する酵素の働き、消化した栄养からエネルギーを取り出す仕组み、顿狈础が复製され、その情报からタンパク质が作られる仕组み、遗伝の仕方など、ヒトを含めた生物に共通する仕组みについて学んでいきます。
黑料网の场合、生物を入试科目として选択しなくても良かったので、物理と化学を选択した私にとっては初めて闻く话も多かったですが、生物を选択した人にとっては驯染み深い话が多かったようです。よく入试科目で生物か物理かどちらがいいですかと寻ねられますが、私はどちらでもいいと思います。确かに生物を选択しておけば、こういった科目の理解は早く深まるとは思いますが、1年生の教养科目で物理もありますし、生理学など物理の素养が必要な医学もあります。结局のところ、入学したら全员が、物理?化学?生物を勉强することになるので、受験の时は、好きな科目、得意な科目といった选び方でいいと思います。
まとめ
分子生物学は1年生で履修し、残りの科目は2年生で履修します。さて、これまで基础医学の科目の绍介を中心にしてきましたが、结构たくさんの科目がありましたよね。そのうちの大部分が2年生に集中しているので、2年生の1月は试験が连続し、范囲も広くなかなか大変です。今回までが、3年生の前期までに履修する専门科目全てです。次回は3年生后期の研究室配属について书いていこうと思います。
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Profile
所属:医学部医学科5年生
出身地:爱知県