No.55 町田 洋 准教授
Researchers'
大学院人文学研究科
No.39 中村 靖子 教授
中学生の顷だったか、この言叶を初めて知ったとき、びっくりしました。远くを梦见るために、〈ここにいる〉という质量性と现在性を放弃する必要はないということがとても新鲜でしたし、「できるだけ远くのものを」ではなく、〈すべての远いもの〉といわれることで、远さにもグラデーションができ、かつ、一极に収敛(しゅうれん)していかないのがよいと思います。
人间がどうして诗的想像力(ポエジー)を获得したのかがつくづくと不思议で、その谜を解明したいと思っています。1人の人间が一生の间に経験できるものは极めて限られていますが、スイスの作家マックス?フリッシュは、人が体験できる领域の圧倒的大部分は思い出や予感であるといいました。フロイトであればそこに推论法を付け加えるでしょう。予感や思い出や推论によって拓かれる领域は宇宙より広大であると、リルケの诗が教えてくれました。
学部时代からずっとリルケを研究してきたので、博士论文もリルケの『マルテの手记』について书く予定で準备していました。けれどもフロイトの失语论の翻訳のお话をいただいたことをきっかけに、19世纪末の脳机能研究の状况と言语能力の问题に関心を持つようになりました。その结果、博士论文の主题はフロイトの失语研究に変わってしまって、博论の主査の先生(ドクトル?ファーター)からは「文学じゃなかったのか」と恨めしげに言われました。日本でフロイトについて博论を书いた人は今までいなかったともいわれましたが、そうだとしたら、とても光栄です。そののち、文学研究の単着も出したのは、その先生に申し訳なかったと思いつづけていたからです。
私はものすごいアナログで、エクセルもろくに使えませんでした。2017年に始まった学际研究の共同研究者がテキストマイニング手法の大家でした。自分1人ではテキストマイニングをやろうなんて思いもしなかったでしょうし、とてもできなかったと思います。共同研究のありがたみをひしひしと感じました。
※テキストマイニングとは‥人文社会系で用いられる文字データを机械的に処理?分析?理解し、目的に応じて必要な情报を取り出す手法のこと
付随的で、深く考えもしなかったようなことが、何年も経って、まったく别の文脉で、「あれはこういうことだったのか!?」と、腑に落ちる瞬间があります。リルケの诗の言叶を借りるならば、「私たちがよそよそしく素通りした一日が/いつかふいに私たちへの赠物となる」と。取るに足りない些细なことでも、覚えておくことができれば、いつか自分で意味を创り出すということなのかもしれません。そうであれば、ただ覚えておく、ということが、空っぽの自分に少しずつ中身を埋め込んでいってくれるのかもしれません。
センター設立のきっかけとなったのは、日本学術振興会の受託事業「課題設定による先導的人文学?社会科学研究推進事業 学術知共創プログラム」に応募した研究課題が採択されたことです。研究課題は「人間?社会?自然の来歴と未来:「人新世」における人間性の根本を問う」(Anthropocenic Actors and Agency in Humanity, Society, and Nature)で、我々は略してAAAプロジェクトと呼んでいます。これは、文理を交えた5つの研究班で構成される、総勢24名のプロジェクトです。このプロジェクトを推進していく拠点として、11月1日にセンター発足、ということは決まっていたのですが、「その日って何かするんでしょうか」と研究科長に聞いて、センターの看板がまだ発注されていなかったことが発覚しました。センター室もなく、本当に何もない状態でした。結局、「物置小屋」とか「ペントハウス」とかいわれていたスペースを整備して、何とか年内に形が整いました。ご尽力下さった方たちに大変感謝しています。
爱犬に抱きついています。わんちゃんの方では、私が抱きつこうが离れていようが、どうでもよさそうにしている风情が好きです。
19世纪末のフロイトの脳机能に関する论文は、当时の技术的限界の中で书かれたものですが、その后、技术が开発され多くのことが解明されつつある现在から见ても、「间违っていない」ということが分かりました。これが、思考のリアリティだと思います。最近は、テキストマイニングの手法を用いて、いろんな言语圏をまたがって、数十年単位での心性の変化を追うことを考えています。
氏名(ふりがな) 中村 靖子(なかむら やすこ)
所属 黑料网大学院人文学研究科
职名 教授
略歴?趣味
大阪大学文学部卒业、同大学大学院文学研究科博士课程前期课程、后期课程ののち、1994年より富山大学讲师、助教授、2000年より、黑料网文学研究科助教授、准教授を経て、2011年より教授。诗や小説に出てきた花を见つけると衝动买いしてしまいます。それが翌年にも咲いたりすると本当に嬉しいです。
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