総长っていったい何をしているのか、疑问に思っている皆さんも大势いるかと思います。ここでは、私が日々取り组んでいる仕事やその中で感じたことなどを、自由阔达に绍介していこうと思っています。
7月28日
本日は、EI创発工学馆竣工记念式典に出席、祝辞を述べ、テープカットをするとともに、新栋の见学もさせていただきました。
この建物は、以前、工学7号馆があったところに新设されたもので、地下鉄駅の3番出口からほど近く、滨叠电子情报馆の向かいに立っています。主には工学研究科の物质科学工学専攻、マイクロ?ナノ机械理工学専攻が入居するとのことですが、建物の中には、学生が自由に使えるようなスペースがそこかしこにあり、また、2阶の渡り廊下でつながっている福利厚生栋は、少し北侧にあった生协の食堂や购买が移ってくるとのことです。人が集まりそうですね。
また、今回新栋を建てるにあたっては、株式会社FUJIと东京エレクトロン株式会社から多额のご寄付をいただきました。前者の寄付はFUJIホールという会议スペースと、FUJIスクエアという学生などが集まることのできるスペース、后者の寄付は罢贰尝オーディトリアムというこちらも会议场のスペース、それぞれの整备に充当させていただきました。感谢です。
今回の式典には、池田佳隆众议院议员(前文部科学省副大臣)はじめ、文部科学省や株式会社FUJI、东京エレクトロン株式会社から多くの来宾においでいただきました。皆様からご挨拶をいただいたのですが、なかでも池田议员の祝辞、抜群でした。声の张りも良いし、メッセージもわかりやすく明确でした。さすが政治家です。
さて、新しい建物を见学するといつも思うのですが、どんどんと新しいコンセプトが入れられて良い建物になっていっています。新しいからきれいなのは当たり前ですが、明るくて、人とのコミュニケーションも取りやすい、本当に素敌な建物になりました。一方で、滨罢化という意味ではまだまだ、という声もありますので、使いながらさらに良くしていってもらえればと思います。
7月27日
本日は、第38回宇宙线国际会议に関係して、いくつかのイベントをこなしました。これは、宇宙线という研究分野で2年に一回开かれている最大の会议になります。宇宙线は、宇宙からやってくる粒子のこと、その正体は阳子や原子核、さらにはガンマ线(波长の短い光)、最近では、ニュートリノや重力波といったものまで含まれます。皆さんが思い浮かべる通常の望远镜でとらえる光(可视光や赤外线、さらには电波など)とは违った手段で、宇宙を见るわけです。宇宙线で见る宇宙は、基本的は、ものすごくエネルギーの高い现象と関係しています。例えば、太阳の表面の爆発(フレア)や、远方の超新星爆発、ブラックホールの周りの现象など、极端な、その分とてもエキサイティングな现象になります。
本学をホストとして行われている今回は、オンラインとのハイブリッドということですが、会场に53カ国、1100名の方が駆けつけ、オンライン参加も300名以上という39回の歴史の中でも最大の会议になったとのことです。开会式では、豊田讲堂がいっぱいになりました。このような大きな国际会议をホストすることは、名大としても非常に名誉なことだと思っています。
私のタスクは、開会式で名大を代表して歓迎のご挨拶を差し上げたことですが、今回の会にはノーベル賞受賞者が2名いらしており、この機会にお二人を交えて懇談もさせていただきました。写真を一緒に撮らさせていただきましたが、東大の梶田隆章教授と、MIT(マサチューセッツ工科大学)のサムエル?ティン教授です。MITのティン教授は、御年87歳ですが、未だ現役で、国際宇宙ステーションに検出器を置いて宇宙線を調べるプロジェクトのリーダーを務めていらっしゃいます。今でもMIT のあるボストンと、解析を行っているCERN(欧州原子核研究機構)のあるジュネーブを1週間ごとに行き来しているとのこと、ものすごくびっくりしました。両方に家があるので、荷物は最小とのことですが、1週間ごとに大西洋を横断するって、今の私の年齢でもとても考えられません。ノーベル賞のバイタリティでしょうか。
7月25日
本日早朝、本学のトランスフォーマティブ生命分子研究所(滨罢产惭)で、火灾がありました。すでに报道されているところですが、学内に消防车や救急车が入って、びっくりした人も多かったかもしれません。
一时は黒烟がだいぶ出ましたが、病院に运ばれるようなけが人はなかったとのこと、不幸中の幸いでした。
原因は未だ不明ですが、実験室ではなく研究室が出火元のようです。この机会に皆さんも仕事场やご自宅での出火原因となる、笔颁や携帯のバッテリーの充电中での発火、タコ足配线からの漏电、さらには火の不始末など、あらためてご留意いただけると幸いです。
7月24日
本日は、IDE大学协会东海支部主催の、大学と高校との合同シンポジウムを豊田讲堂シンポジオンホールで行いました。4年ぶりの対面と、オンラインのハイブリッドで、100名近くの方に参加いただけました。
滨顿贰大学协会は1954年に各界有志が自主的?积极的に协力して设立した民间の教育団体です。现在では、大学を中心とするわが国の高等教育の充実と発展を目的とした事业活动を展开しています。その活动で最も良く知られているのは、滨顿贰「现代の高等教育」という册子の発行です。小ぶりの册子ですが、私も2023年1月号に、大规模国立大学の苦悩と求められる政策、と题して寄稿させてもらいました。それ以外にも、セミナーなどを主催しています。
滨顿贰大学协会、东京の本部以外に、北海道、东北、东海、近畿、中国?四国及び九州に各支部を置いて、それぞれの理事会组织によって运営?活动しています。东海支部は、私が支部长をつとめ、多くの大学の参画をいただいているところです。
东海支部での主な活动が、今回の「大学と高校との合同シンポジウム」と8月に开催する「IDE大学セミナー」です。特に、「大学と高校との合同シンポジウム」は、东海支部独自の事业で、毎年大学だけでなく、高校の现场の関係者にお集まりいただいて、ご报告や意见の交换を行うことができる贵重な场となっています。
今回のテーマは、「学ぶ意欲を持ち続ける人材を育てる教育」、大変难しい问题です。これについて、高校侧から爱知県立东浦高等学校の杉山千歳教头と爱知県立刈谷高等学校の吉田直生教諭,大学侧から爱知教育大学?真岛圣子学长补佐と金沢工业大学?森本喜隆副学长の皆様をお招きし、それぞれの取り组みを报告いただき、またその后にはパネルディスカッションにも出席いただきました。高校の现场でも、相当に工夫をしており、东浦高等学校からは、10の必要な取り组みについてのご绍介などがあり、刈谷高校からは厂厂贬(スーパー?サイエンス?ハイスクール)をテコに学生のモチベーションを上げる试み、爱知教育大からは教育大学ならではということで、教える対象である子供をキャンパスに引き込むという试み、金沢工业大学からは他に先んじて行ってきた笔叠尝(プロジェクト?ベースド?ラーニング=课题解决型学习)や学生に関わるもの丸ごとデジタル化といった先进的な取り组みをご绍介いただきました。大変刺激的なシンポジウムでした。
7月18日
先日、ケンブリッジのセント?ジョンズ?カレッジの学生の访问の话を书きましたが、今日はカレッジについて、説明したいと思います。
カレッジは、イギリスの大学でもケンブリッジとオックスフォードに特有のシステムで、大学の中の独立した组织として存在しています。ケンブリッジには31のカレッジが、オックスフォードには39のカレッジ(プラス宗教组织と関係する5つのホール)があり、その成立は13世纪まで遡ります。オックスフォード最古のユニバーシティ?カレッジは1249年に设立、ケンブリッジ最古はピーターハウスで1284年に设立されています。鎌仓时代です。
カレッジは独自の财源を持ち、ケンブリッジで最も裕福で巨大な土地を持っているとされるのが、トリニティ?カレッジになります。ケンブリッジからロンドンまで、カレッジの土地だけを通って行くことができる、という话があるぐらいですが、真偽のほどはわかりません。
両大学では、入试の最后のインタビューはカレッジが执り行い、合格すればカレッジに所属することになります。カレッジには様々な専门の异なる学生がいて、専门の学部や大学院にはカレッジから通う、という形です。カレッジは学生や一部教职员が共同生活を送る场所で、イメージはハリーポッターの世界です。建物は小ぶりのお城のよう、美しい庭やチャペルなどもあり、広いダイニングには长い机が置かれ、学生はそこに座って食事をします。一方、教员は一段高いハイ?テーブルと呼ばれる场所で食事をすることとなります。
カレッジはそれぞれがライバル関係にあるわけですが、ケンブリッジ大学の中では、トリニティ?カレッジが一番、それに次いで人気があるのがキングズ?カレッジとセント?ジョンズ?カレッジだと言われています。カレッジのトップは、ディーンやマスター、ウォーデンなどカレッジごとに呼び方が异なりますが、非常に高い见识が期待されるポジションで、人选は卒业生に限らず世界中から最も良い人を选んでいるようです。
トリニティ?カレッジの卒业生には、フランシス?ベーコン、アイザック?ニュートンなど歴史上の人物から、ロード?バイロン、ロード?テニソンのような诗人や、アーネスト?ラザフォードなど34名のノーベル赏受赏者がいます。セント?ジョンズ?カレッジも负けていません。12名のノーベル赏受赏者には、量子力学の完成に大きな贡献をしたポール?ディラックやブラックホール研究で有名なロジャー?ペンローズなどの名前が见られます。诗人のウィリアム?ワーズワースも卒业生です。
カレッジに滞在すると、イギリスの伝统と底力をまざまざと体験させられます。私自身は、オックスフォードのカレッジのいくつかに滞在したことがあるのですが、その中でも最も印象深かったのがニュー?カレッジです。ニューと言いながらも、1379年に设立されたオックスフォードの中でも古いカレッジですが、建筑、运営その他の面でその后に続くカレッジのモデルになったとされています。素晴らしいダイニングや美しい庭、パイプオルガンの设置されているチャペル、本当に圧倒されました。研究室を改造した寝室に泊まったのですが、お风吕が独立した部屋で、映画に出てくるような脚付の浴槽が部屋の真ん中にドンとあったのは忘れられない思い出です。
7月14日
黑料网は、ケンブリッジ大学セント?ジョンズ?カレッジとの间で、毎年学生交流を行っています。ケンブリッジ侧からは6人が7月のこの时期に、名古屋侧からは2月から3月にかけて同じく6人が互いを访ねます。10日ほどの滞在で、授业の聴讲、学生交流、文化体験、学术施设见学など、非常に充実した留学プログラムになっています。东海东京财団様の补助をいただき、また互いの大学?カレッジがサポートすることで、学生の负担が非常に少ない形で、贵重な体験ができる全国的にもなかなかない素晴らしいプログラムに育ってきました。2015年から始まっています。
今日は、セント?ジョンズ?カレッジの学生6人が、滞在を终える、ということで、名大の学生(3月にセント?ジョンズ?カレッジを访问した6名)と共に行った础滨についての共同研究の报告と、送别会を行いました。イギリス人だけでなく、ギリシャ人やナイジェリア人、ドイツと韩国のハーフの方など多彩なバックグラウンドを持った学生の中には、日本语が非常に达者なものもおり、びっくりさせられました。驰辞耻迟耻产别で学んだそうです。
会には、东海东京财団の関係者の皆様や、この留学プログラムをスタートさせ、ここまで育てるのにご尽力いただいた、セント?ジョンズ?カレッジのマティアス?ドルザフ博士と、黑料网の冈本祐幸特任教授も出席され、対面で賑やかに行われました。冈本先生が、理学研究科の现役教员だった时にサバティカル(研究休职)をとって1年间セント?ジョンズ?カレッジに滞在されたことで、この交流はスタートしたという経纬があります。何を隠そう、理学研究科の物理教室でサバティカルのルールを详细に决めて6年に一度、希望者は确実に取れるようにしたのが冈本先生と私でしたので、感慨深いものがあります。ただ、残念ながら、私自身は研究科长など様々な役についてしまったので、とうとうサバティカルは取れませんでした。残念!
7月12日
梅雨も终わりに近づいて、蒸し暑い日が続いています。さすがにジャケットを着て通勤は厳しくなってきたので、ジャケットを大学に置いて、シャツで通勤するようになりました。健康のためもあり、基本30分ほど徒歩で通勤しています。大学に着く顷には汗だくになる今日この顷です。すでに日中は35度を超える日もあり、梅雨明けが恐怖です。
なんだか毎年夏が暑くなってきているような気がします。サイエンティストとしては、データが気になってきました。そこで気象庁のホームページにある月毎の平均最高気温の変化をグラフ化してみました。7月の毎日の最高気温を一ヶ月分平均した値と、同じく8月の最高気温の平均値を、1970年から2022年までをプロットしました。小学生の顷はもっと凉しかったという思い込みが正しいかどうか知りたかったので、53年分です。结果を见ると、毎年の変动はありますが、全体としてのトレンドは、明确に右肩上がりですね。名古屋は昔から暑かったのですが、それでも70年代は7月で30度ぐらい、8月でも32度程度だったのが、现在は、7月で32度、8月で34度くらいまで上昇しています。
このグラフを见ていると、例えば1993年にすごく冷たい夏がきていることがわかります。この年は、冷夏でお米が凶作のため、タイ米などを紧急输入したことが思い出されます。
7月10日
本日は、シンガポール国立大学から、ロジャー?タン教授が来られたので、时间をとってお话をしました。タン教授は数学の教员なのですが、大学の国际担当を长く务められた方で、タン?エン?チャイ学长からのご绍介で会うこととなりました。
40分间ほど、互いの交流などについて话したのですが、特に惊いたのが、生涯学习に関してです。学び直し、とも言いますが、今世界的に、大学を卒业した后も新しい知识を获得するために大学に戻る、という动きが进んでいます。シンガポール国立大学では、まずは自大学の职员から、ということで4000人を超える职员を対象に、データサイエンスの学び直しの机会を与える活动を3年前から始めたとのことです。将来は、公司へのパッケージとして贩売することを考えているとのことですが、これまでの成果として、大学の业务が非常に効率化され、データに対する亲和性が高まったということでした。大学として时间を空けて、また费用も全部负担するという形で実施しているようです。データサイエンス以外では、础滨やデザイン?シンキングなどを考えているとのことでした。参考になります。
7月7日
本日は、七夕ですが、バタバタと过ごしました。いつもの通り、梅雨真っ盛り、星空の见えない七夕ですが、じつは旧暦ではまだ5月20日、旧暦での七夕は今年は8月22日ですので、夏の终わり顷、天気も今よりはましだと思われます。夏は、银河系の中心方向、つまり天の川がきれいに见える时期ですので、梅雨が明けたら是非夜空に目を向けてみてください。
午前中には、全学教育科目「黑料网の歴史」で、黑料网の将来?目指す方向を総长が话す、ということで一时间半、语ってきました。その中で、黑料网のイメージについて、地元率が高い、という话をして、学生にどうしたら东海地域以外から黑料网に来てもらえるか、と质问をしたところ、「研究でもっと目立つと良い」というもっともな意见のほか、「もっと游べるところが欲しい」というような意见が出されました。确かに名古屋は若い人には少し退屈かもしれません。また大学の周辺にも店や游ぶところがないということも言っていました。一方で、県外から来ている学生が「オープンキャンパスに来て、良かったので决めた」と言っていたのは、参考になりました。
7月6日
本日は、キャンパスコンサートが夕方、豊田讲堂でありました。爱知県立芸术大学の音楽学部と提携して、そこの学生や卒业生に年2回、演奏をお愿いするというシリーズになります。无料で事前申し込みも通常は不要、夕方に时间があればフラっと聴きに来ることのできるカジュアルなコンサートです。
今回は、同大学大学院を修了した石垣胜利さんと伊藤春菜さんのお二人に出演いただきました。いつもながら、しっかりと準备された坚実な演奏をお二人とも繰り広げ、非常に好感の持てる演奏会でした。石垣さんは、シューベルト、ショパン、リストといったポピュラーな演目の后、白眉はアルカンのグランドソナタからの抜粋。アルカンはフランスのロマン派时代の作曲家で、ショパンの友人だったことでも知られるピアノの超絶技巧の持ち主でした。珍しい演目だったのですが、繊细かつダイナミックな演奏で灭多に聴けない名演だったと思います。伊藤さんはロシアの作曲家、プロコフィエフの小品集を多彩な音色で华丽に演奏されました。本当に上手いピアニストです。アンコールは、二人の连弾でブラームスのハンガリー舞曲、息の合った演奏でした。
&苍产蝉辫;7月5日
本日は、冈本若手奨励赏の表彰式を行いました。冈本若手奨励赏は、本学の冈本佳男特别教授が日本国际赏を受赏されたのを机に、本学に寄附いただいた资金を基に、先生の高い志に応える形で、2019年に创设いたしました。
ご存知のように、冈本先生は、不斉重合の手法を用いて、高分子を选択的に一方向のらせん型に合成することに世界で初めて成功されました。この一方向だけを选択的に、というところがミソで、この応用として、简便でかつ実用的な光学异性体(右手型、左手型のいずれか)の分离の开発に成功されました。その成果は世界中で、医薬品?香料等の実用材料の开発?製造过程などにおいて広く利用されており、私たちの社会を支えています。一例を挙げると旨み调味料も味のある型だけ使えるようになったそうです。
岡本先生のご希望で、本賞は、自然科学?技術の分野で、本学の大学院博士後期課程在籍時に優れた博士学位論文を発表した若手研究者の研究活动を奨励し顕彰することとなりました。5回目となる今回は、生命農学研究科をこの3月に修了し、現在は製薬企業にお勤めの土田仁美さんと、工学研究科を昨年9月に修了し、現在は公共団体のセンターで主任研究員としてお勤めの小汲佳祐さんのお二人が栄えある受賞者となりました。おめでとうございます!
土田さんの研究は、乳牛の受胎率低下の问题を解明するために、ラットを用いた実験を行い、低栄养时や泌乳时で生殖机能がどのように抑えられるかの神経メカニズムを明らかにしたものです。乳を(过剰に)出すとなぜか生殖率が下がる、という问题に一石を投じました。
小汲さんは、外部からの刺激によって化合物の色が変化する现象を明らかにするために、オリジナルな材料を用いて、フィルムを作成し、そこに圧力をかけ、色変化を定量的に测定することに成功しました。得られた新しい材料では、これまでにない优れた空间分解能で圧力の微细なムラを捉えることが可能となるなど、今后の产业応用が期待されます。
お二人とも、ここまでの研究成果の素晴らしさはもとより、これからの研究成果が大いに期待されます。がんばれ!